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3: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 22:27:08.08 ID:lKkU5n7o
銃を構えたその瞳に一瞬ドキッとしてしまう・・・なんて事はなく、それもそのはず。

海未「ほら、虎太郎くん。もう少しこう…脇を締めた方がブレずに照準を合わせやすいと思いますよ?」

虎太郎「うん」

海未「大丈夫ですか?」

虎太郎「大丈夫だよ」

私のはじめてのデートの相手は10才以上も年の離れた小さな男の子でした。

虎太郎「やった!お姉ちゃんの言う通りにしたら当たったよ」

けれど、その笑顔は卑怯です。

6: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 22:34:33.81 ID:lKkU5n7o
その日はとても暑く今年の最高気温を更新していたと思います。私は携帯電話を耳に当てながら、空いた方の手で部屋の窓を開けました。

海未「はい、はい。そうですか」

「そうだよぉ。うぅ・・・でも、今日くらいいいかな?一日くらい勉強しなくてもさぁ」

電話越しに穂乃果は半べそをかきながら愚痴を吐きます。

海未「ダメですよ。あなたは受験生なのですから。しっかりして下さい」

私が咎める様な事を言ったのできっと穂乃果は頬を膨らませているはず。

「ぶー。海未ちゃんの鬼ぃ。はあ・・・この日は毎年縁日に行くって決めてたのにぃ。夏期講習なんて申し込むんじゃなかった。って言うか絵里ちゃん達だって受験勉強してた様子なかったよね?部活してたよね?」

海未「あの二人は普段から積み重ねていた物があるから大丈夫なんです。あなたは普段から勉強をしていました?」

「そうだけど・・・。あの二人だって・・・二人?そうだよ!もう一人居たでしょ!三年生は」

海未「そうやってやらなくていい理由を探そうとしない!あなたはあなた何ですから。こんなくだらない話をしてる暇があるなら英単語の一つでも覚えた方がいいですよ。という事で電話切りますよ?」

「やっぱり鬼だぁ」

海未「それじゃあ」

「はーい」

プツッ

9: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 22:40:34.00 ID:lKkU5n7o
半ば強制的に電話を切って、私は再び勉強机へ向かうのでした。

例年、この日は穂乃果達と縁日に行くのが恒例なのですが、今年の私達は受験生なので勉強をしなくてはいけなかったのです。

ミーンミンミンミン。

とは言ってもこの暑さ、穂乃果でなくてもなかなか勉強に身が入りません。どうしてこうも日本はこうも暑いのでしょうか。
エアコンをつければ解決する話なのですが、それがさらに温暖化を進めるらしいのです。そう言われると意地でもエアコンをつけない様にしてしまう。そもそも、私の部屋にはエアコンがないのですが・・・。

海未「はあ・・・。図書館で勉強しようかな」

図書館であれば私がエアコンのスイッチを押さなくても元から起動しているので致しかたないと言うか、屁理屈ですけど、その方が勉強も捗ると言うものです。

10: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 22:48:06.39 ID:lKkU5n7o
悩んだ挙句、暑さに耐えられない私は図書館に行く事に決めました。そうと決まればなんて身のこなしの軽い事、我ながら笑ってしまいます。勉強道具を鞄に入れて羽の様にヒラヒラと玄関へ向かうのでした。

「海未?どこかへ行くのかい?」

家を飛び出そうとしたその瞬間、後ろから声を掛けて来たのは私の祖母です。

海未「はい。図書館で勉強でもしようかと。何か頼まれ事でもありましたか?」

私がそう答えると祖母は呆れた様にため息を吐きました。

「何だい、勉強かい。海未は本当に真面目だねぇ。今日は縁日だろう?」

海未「受験生ですから。勉強しないと」

「あまり根を詰めても何にもらないものだよ」

海未「それは・・・分かっては居るのですが周りの友達もみんな受験生ですから。一緒に行く相手も・・・」

「友達以外に行く相手は居ないのかい?」

友達以外?友達以外で縁日に行く相手・・・と惚けたフリをしましたが、祖母が何を言いたいかはすぐに分かりました。

11: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 22:55:29.64 ID:lKkU5n7o
有り体に言うとデートをする異性も居ないのかと祖母は言いたいのです。

生憎、私はそっちの方面には疎いと言うか同年代の女の子よりもだいぶ遅れているのは自覚しています。それを少し恥じらうくらいには私も年頃の女の子でした。

「まあ、いいさ。確かに勉強は大事だからね。頑張って来るんだよ」

海未「はい・・・」

「ただ、もし縁日に寄って来る様な事があったらついでに焼き物でも買って来ておくれ」

海未「お好み焼き・・・で良いですか?」

「何でもいいさ。そこは海未に任せるよ」

こうやって、祖母はいつも私に口実を与えてくれるのです。ただ、今回ばかりは本当に一緒に行く相手など居ないのですが。

12: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:09:21.21 ID:lKkU5n7o
ミーンミンミンミン。

結局、縁日に行く相手も居ない私は図書館に向かっている道中で見覚えのある男の子を発見しました。

海未「あら!?もしかして、虎太郎くん?こんにちは」

ジ~っと電柱にとまったセミを見つめる彼に私が声を掛けるとゆっくり私の方に顔を向けました。

虎太郎「こんにちは」

彼の名前は矢澤虎太郎、私の友人の矢澤にこの弟です。

海未「虎太郎くん、もしかして一人ですか?」

周りを見渡しても他に誰もいませんが、小さい子がこんな所を一人で出歩いているのも考えづらいのできっと誰かと来てるはずだと思ったのです。

海未「あの・・・お姉ちゃんは一緒じゃないのですか?」

彼はゆっくりと首を振る。

海未「そうですか。もしかして、はぐれたとか?」

今度はゆっくりと首を縦に振りました。予感は的中です。しかし、慌てる素振りも見せず、私の質問にただキョトンとしています。もしかして、虎太郎くんは人見知りなのでしょうか?

13: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:12:04.63 ID:lKkU5n7o
だいたいにして、彼は私の事を覚えているのでしょうか?前に会ったのはだいぶ前ですし・・・その時は大勢いた中の一人だったでしょうから。 私は虎太郎くんに聞いてみる事にしました。

海未「虎太郎くん。私の事を覚えていますか?」

虎太郎「うん!」

海未「本当ですか」

どうやら覚えいたらしく少し嬉しかったです。

虎太郎「μ'sのお姉ちゃんだよね!」

海未「はい。そうですよ」

いざ喋り出すとなんだか、以前とは雰囲気が変わったと言うか・・・かなり大人しく言葉もたどたどしかった記憶があったのですが。男子三日会わざれば何とかと言うものでしょうか?

14: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:24:10.33 ID:lKkU5n7o
そんな事を思いながら、そう言えば虎太郎くんには一度も自己紹介をした事が無かった事を思い出しました。多分、彼にとってはμ'sのお姉ちゃんで園田海未と言う認識はなかったと思います。

海未「そう言えば虎太郎くんに一度も自己紹介をしてなかったですね。私の名前は海未って言います」

虎太郎「海未お姉ちゃん!」

海未お姉ちゃんと言われると少し照れると言うか・・・子供の頃から密かに弟や妹に憧れていたので意外な所で夢が叶った形でした。思わず頬が緩んでしまい、それが虎太郎くんにバレない様に無理矢理に引き締めました。虎太郎くんはキョトンとしてましたがバレてなければ幸いです。

海未「それはそうと迷子なんでしたね」

虎太郎「うん」

海未「ちょっと待ってて下さいね。今、お姉ちゃんに連絡しますから」

私は携帯を取り出して彼の姉に電話をしました。

「にこでーす。ただ今電話に出られません」

妙にイラッと来るこの音声案内。どうやら電話に出られない状況らしいです。

海未「困りましたね。どうしましょうか。ここで待っていた方がいいのか」

15: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:27:35.54 ID:lKkU5n7o
そんな事を思いながらふと虎太郎君の方を見ると右手に紙を数枚握りしめているのに気が付きました。

海未「虎太郎君?その右手に握りしめている物は一体・・・?」

虎太郎「これ?」

と言って握りしめた紙を私に差し出してきました。

海未「福引の引換券ですか」

なるほど。なんとなく読めて来ました。私達の住む街の縁日では毎回福引が開催されるのです。彼が握りしめていた紙はその引換券で、引換券は商店街の組合に参加しているお店で買い物をした際に手に入れる事が出来るのです。

海未「縁日に行く途中だったのですね」

虎太郎「うん」

彼は縁日に行く途中に迷子になったと言う訳です。

16: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:30:22.24 ID:lKkU5n7o
しかし、それが分かった所で彼の家族とは連絡取れない事は変わりません。取り敢えず少しお喋りでもしながらここで待っていれば、もしかしたらここに戻って来るかもしれません。

海未「虎太郎君、にこ・・・にこお姉ちゃんは元気にしていますか?」

虎太郎「うん。元気」

海未「そうですか。元気ですか」

虎太郎君の姉のにことは半年前まで毎日の様に顔を合わせて居ましたが、彼女が高校を卒業してからはお互い忙しくなかなか会う機会も減っていました。

17: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:31:40.58 ID:lKkU5n7o
海未「元気な事は良いことですね」

虎太郎「うん」

海未「虎太郎君は今年でいくつになったのですか?」

虎太郎「1・・2・・3・・4・・5・・5?」

海未「5歳ですか?」

虎太郎「ん~・・・」

海未「そうですか。えっと・・・」

ここで気が付きました。私って会話の引き出しが極端に少ないんだと。子供相手ですら何を喋れば良いのか悩んでしまいます。

22: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:39:50.25 ID:lKkU5n7o
どうにか会話を広げないと、と困っていると

「あれ、海未ちゃんやん?」

後方から聞き覚えのある声がしました。振り返るとそこに居たのは友人の東條希でした。彼女は虎太郎くんの姉のにこと同学年で既に高校を卒業しています。

海未「希!?」

希「久しぶりやね」

ちなみに全然久しぶりなんかではなく彼女とはしょっちゅう会っています。

海未「先週もあったじゃないですか」

希「でも一週間も会ってないやん。ちょっと前まで毎日会ってたんやから。だから久しぶり」

海未「そうですか」

私が呆れた顔をすると希が嬉しそうに笑います。

希「って言うか、さっきから気になってたんやけど。虎太郎君やんね?」

26: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/22(月) 23:51:43.34 ID:lKkU5n7o
そう言って虎太郎くんの顔を覗き込むと「こんにちは」と声を掛け、すぐに私に顔を向け直しました。

希「にこっちは一緒じゃないの?」

海未「どうやら迷子の様で。私もちょっと前に声を掛けた所だったんです」

私がそう言うと希は何か少し考えた素振りを見せた後ニヤッとしながら喋り始めました。

希「ふ~ん。そうなんや。迷子の所を海未ちゃんにナンパされたんだね。海未ちゃんもやるやん!」

海未「は、はあ?違います!お互い知らない顔じゃありませんし偶然出くわしたら声も掛かるでしょう?」

彼女の冗談に思わず本気で返してしまい、そんな私に希も呆れた表情を見せました。

希「いや・・・冗談だし・・そんなに必死にならなくても・・・」

海未「だって希が変な事を言うから!!!」

28: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/23(火) 20:15:16.57 ID:Uero0ahb
どうも私はこう言った冗談が苦手でどう返すが正解なのか分からず、つい焦って大声が出てしまいます。
そのやり取りを虎太郎くんが心配そうに見ていました。

虎太郎「お姉ちゃん達、喧嘩?」

希「ちゃうよ~。お姉ちゃん達ちょっとふざけてただけ。急に大きな声出してゴメンな」

希がそう言うと虎太郎くんは安心した様にコクリと頷きました。こんな小さな子に心配を掛けてしまい少し反省です。

希「でも、そっか。迷子か~。電話は?」

海未「しましたけど・・・電話が通じなくて・・・」

私は今までの経緯を事細かく希に説明しました。

希「ふ~ん、そうなんや・・・虎太郎君はお祭りに行く途中だったのかな?」

虎太郎「うん」

希「そっか。なら、海未ちゃんが連れて行ってあげたら?」

連れて行ってあげたら?

海未「私がですか?」

希「うん。ウチが連れて行ってあげたい所なんやけどこの後バイトでな~」

29: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/23(火) 22:03:30.23 ID:Uero0ahb
海未「けど・・・探しに戻って来るかもしれないじゃないですか」

希「ん~・・・留守電にメッセージでも送っておけばええやん。ここに戻って来るかも分からないんやし。虎太郎君も早くお祭り行きたいやろ?」

確かに希の言う事も一理あります。虎太郎くんの方をチラッと見ると、彼も私をジッと見つめていました。

希「虎太郎君も早くお祭り行きたいよね?」

虎太郎「うん」

希の問い掛けに虎太郎くんは大きく元気よく頷くのでした。こんな反応をされては仕方ありません。

海未「じゃあ・・・電話が掛かって来るまで一緒に縁日に行きますか?」

虎太郎「うん!」

虎太郎くんはもう一度大きく頷くとおもむろに私に手を差し出しました。思わず差し出された手を握り返すと、希がニヤニヤしながら私達を見ていました。

希「良かったな~。初デートがこんな綺麗なお姉ちゃんでラッキーやね」

虎太郎「デート?」

海未「ちょっ、希!!」

希「そう。デ・イ・ト」

またしても、私はまんまと希に揶揄われ顔を真っ赤にするのでした。

30: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/23(火) 22:08:01.91 ID:Uero0ahb
虎太郎「お姉ちゃん大丈夫?」

そんな私を見て虎太郎君が不安そうな目でこちらを見ています。

希「ほら~虎太郎くんに心配掛けちゃあかんよ」

そう言って希は笑うけど、私の性格を知っていてそんな事を言うのがいけないと思うのです。

だいたい、私だって初デートなんですから・・・。

希「ん?何か言った?」

海未「いえ、何も」

思わず口に出していた様です。

海未「それじゃ虎太郎君。行きましょうか?」

虎太郎「うん」

こうして私は虎太郎君とお祭りに行く事になりました。

31: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/23(火) 22:58:51.70 ID:Uero0ahb
歩き出した私達に手を振る希に、空いてる方の手で振り返す虎太郎くん。もう片方の手はしっかりと私の手を握っています。

思えばこうやって誰かと手を繋いで歩くのも久しぶりな気がします。子供の頃はどこに行くにもこうして誰かと手を繋いでいた様な。

そんな懐かしい気分に浸っていると虎太郎くんが私の顔を見つめているのに気がつきました。思わず私も黙って見返します。こう見ると当然なのですが、顔の作りがにこによく似ています。特にクリッとした大きな瞳と薄い唇、鼻の形なんて特にソックリです。髪も凄く綺麗で、にこが手を入れているのでしょう。

虎太郎「どうしたの?顔、何かついてる?」

虎太郎くんの問い掛けに、ハッと我に返った私は慌てて話を逸らそうとしました。

海未「あの、虎太郎くんは毎年、お祭りに来ているのですか?」

虎太郎「うん。お姉ちゃんと」

海未「にこお姉ちゃんと来てるんですか?」

虎太郎「とか」

海未「とか?あぁ、こころお姉ちゃん達も一緒と言う事ですね」

虎太郎「うん」

35: 名無しで叶える物語(茸) 2022/08/24(水) 22:00:37.94 ID:EbSdjwza
こころお姉ちゃんとは矢澤姉弟の次女の事で、長女がにこ、三女がここあちゃん、虎太郎くんは末っ子の長男です。

虎太郎「お姉ちゃんは?」

矢澤姉妹の話をしたばかりだったので、お姉ちゃんと言われて一瞬誰の事を指しているのか分かりませんでしたが、虎太郎くんの視線からして私に対して言っているのだとすぐに分かりました。

海未「そうですね。私も縁日には毎年行ってますよ」

虎太郎「誰と?」

虎太郎にそう聞かれて思い出しました。幼い頃、姉に手を引かれて縁日を歩いた遠い昔。

海未「私も虎太郎くんと同じ歳の頃にお姉ちゃんと一緒に縁日に来ましたよ」

虎太郎「海未お姉ちゃんにもお姉ちゃんが居るの?」

36: 名無しで叶える物語(茸) 2022/08/24(水) 23:44:05.76 ID:EbSdjwza
海未「はい、うんと歳の離れた姉が。一緒には暮らしていませんが」

私の姉は私が幼い頃に嫁いで家を出ています。一緒に過ごした時間はほんの少しで、姉と言うよりもたまに会う親戚のお姉さんに近いのかもしれません。それでも、幼い私は姉が大好きだった様で姉が家を出て行く時は毎日の様に泣いていたそうです。

虎太郎「じゃあ、もうお祭り一緒に行く人いないの?」

海未「ううん。姉が出て行ってからは毎年、幼馴染と来てますよ。去年はμ's皆んなと・・・そう言えば去年はにこお姉ちゃんをお借りしちゃいましたね」

虎太郎「いいよ」

38: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/25(木) 21:37:44.82 ID:aRty/Wbm
恒例行事だった幼馴染の穂乃果とことりと行く夏の縁日。振り返ってみる出会って以来初めてかもしれません。二人と縁日に来ないのは。この先そう言った事はもっと増えていくのでしょう。穂乃果とは目指す大学も違うし、ことりに至っては海外留学。今までの様に毎日いつまでも一緒と言う訳にはいかなくなりますから。

そんな事を考えながら歩いていると虎太郎くんが繋いでいた手をギュッと強く握り締めました。

海未「どうしたの?」

思わず歩くのをやめて虎太郎くんに尋ねます。

虎太郎「お姉ちゃんが寂しそうな顔してるから」

強く握りしめられた事でより一層彼の手の感触が伝わって来ます。女の私よりもだいぶ小さな手。その温もりは彼の優しさを感じさせる手でした。

39: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/25(木) 21:50:02.60 ID:aRty/Wbm
幼い頃に迷子になった記憶があります。とても不安で怖くて母が見つけてくれた時、安心して気が緩るんだ幼い私は泣いてしまったのです。彼に手を握り締められた時それを思い出しました。

海未「これじゃあ、どっちが迷子か分かりませんね」

私がそう呟くと虎太郎くんは不思議そうに私を見上げて、私が笑いかけるとつられて虎太郎くんも笑い始めました。

海未「虎太郎くん。そんな事よりお腹空きませんか?」

虎太郎「お腹?」

自分のお腹に左手を当てて、摩る仕草をしました。

虎太郎「お腹空いた~」

海未「じゃあ、あっちに着いたら何か食べましょう。何食べたいですか?」

彼は私の問い掛けに「オムライス!」と元気よく答えて、歩くスピードを速めました。でも、オムライスはあるかな?

40: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/25(木) 22:56:59.84 ID:aRty/Wbm
縁日の会場に到着したのは15時を少し過ぎた頃でした。私の住む街の縁日は昼前には既に殆どの出店が出揃っていて、特設ステージでは所縁のある歌手やお笑い芸人のイベントが企画されています。
会場は既に人混みで溢れていました。

海未「手を離さないで下さいね。この人混みでははぐれたら探し出すのは至難の技ですから」

虎太郎「至難?」

海未「ん~うんと難しいって事ですね。分かりましたか?」

はーい、と言って素直に手を挙げる虎太郎くんを見て、ついつい頬が緩んでしまう。気を抜くと可愛いと声に出してしまいそう。

41: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/25(木) 23:26:23.06 ID:aRty/Wbm
海未「じゃあ、オムライスのお店・・・あるかな?探して歩きましょう」

歩きながら周りを眺めていると、結構珍しい出店が並んでいます。
定番の焼きそばやたこ焼きはもちろん、炒飯や冷やしおでん、わらび餅、タピオカなんかもあります。もしかしたら、オムライスもあるかもしれません。虎太郎くんがおもむろに向こうの方を指差すのでてっきりオムライスの出店を見つけたのかと思い、どうしたのかと聞いてみると

虎太郎「お姉ちゃんは着物着ないの?」

と言うのでした。どうやら、浴衣を着てる女性を指差していたみたいです。

海未「そうですね。せっかく虎太郎くんと一緒なんだから来てくれば良かったですね」

ちょっと歳上の余裕を出してみたのですが。

虎太郎「うん。見たかったな。絶対可愛いもん」

なんて事を真剣な顔で言ってくるので、顔が赤く染め上げてしまいました。

42: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/26(金) 00:22:48.16 ID:6EgvxSuC
手で顔を仰ぎながら、どうにか平常心を取り戻そうと

海未「そ、それより、オムライスのお店は見つかりましたか?」  

と出店の話に流れを向けました。しかし虎太郎くんは私の質問に答えずに

虎太郎「お姉ちゃんはどうして喋る時にです、とかますって言うの?」

と質問に質問で返して来ます。しかしなるほど、私の喋り方ですか。

虎太郎「先生みたい」

確かに小学生の頃からよく聞かれる質問です。以前、学校の後輩の凛にも

凛「海未ちゃんの喋り方ってちょっと独特にゃ~」

と言われました。流石に「凛に言われたくはない」と心の中でツッコミました。と言うか私の場合は別に独特ではないと思います。
私の家は道場を経営していて、幼少の頃から武道や日舞を学んで育った事が影響しているのだと思います。ただ、虎太郎くんくらいの歳の頃は私も年相応の喋り方をしていたし、同じ環境で育ったはずの姉はもっと砕けた喋り方をしています(むしろ姉は砕け過ぎな気もします)。

44: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/26(金) 21:46:45.99 ID:6EgvxSuC
海未「私は昔からこの喋り方なんですよね。もし、虎太郎くんが変だと言うなら変えますよ。ちょっと恥ずかしいけど」

そう言って虎太郎くんの顔を覗き込むと彼は鼻頭を掻きながら

虎太郎「変じゃないよ。ちょっと珍しいなと思っただけ」

とバツが悪そうに否定しました。ちょっと意地悪だったかな。

海未「あっ!ほら、虎太郎くん。向こうのたこ焼き屋さん美味しそうだよ」

私は虎太郎くん越しに見えたたこ焼き屋さんを指差しましたが、彼はお店に目もくれず、

虎太郎「あっ!喋り方変わった!」

と少し興奮気味に指摘するのでした。

海未「何のことでしょう?」

私はふふんと鼻を鳴らし、ちょっと得意気に笑って見せました。

45: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/26(金) 22:00:20.68 ID:6EgvxSuC
結局、私達はオムライスは諦めて、たこ焼きを食べる事にしました。たこ焼きを選んだのは二人でシェアも出来るので女と子供だけでも食べきれると思ったのです。

虎太郎「たこ焼き下さい!!」

虎太郎くんが元気よく注文すると、店主が慣れた手つきでたこ焼きをクルッと回しながら私と虎太郎くんを一瞥しました。

店主「姉弟でお祭りかぁ、仲良いね。よしっ一個オマケしたげよう」

そう言ってたこ焼き屋の店主は一個多くパックにたこ焼きを詰めました。

海未「そ、そんな悪いですよ。それに私達姉弟じゃ・・・」

私が言い掛けると「ごめんね。後ろのお客さん居るから。それじゃあ、坊主。お姉ちゃんと仲良く食べな」と言って虎太郎くんにたこ焼きを渡しました。

周りから見れば私達は姉弟に見えるみたいです。まあ、男女がデートしてる様には見えないでしょうね。

46: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/26(金) 22:20:02.88 ID:6EgvxSuC
虎太郎「いただきます」

虎太郎くんは早速たこ焼きを頬張ろうとすると「あちっ」と口をハフハフ言わせました。

海未「ふふっ、冷まさないと火傷しちゃいますよ」

虎太郎「うん」

素直にフーフーとたこ焼きを冷ます虎太郎君。

虎太郎「はむっ」

海未「ふふっ。美味しいですか?」

虎太郎「うん」

たこ焼きを一つ食べ更にもう一つ手を伸ばしフーフーとたこ焼きを冷まし始めました。

虎太郎「はい」

虎太郎くんはたこ焼きを私に差し出します。

海未「え?」

虎太郎「あ~ん」

まさか、私に?

47: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/26(金) 22:26:24.68 ID:6EgvxSuC
少し人目が気になりました。大勢の人が見ている前であ~んだなんて。けど、相手は子供ですし希の言う通り私は少々大袈裟だという事も自覚していましたから素直に受け入れる事にしました。

海未「あ、あ~ん」

パクっと差し出されたたこ焼きを口に入れます。虎太郎君が冷ましてくれたお陰で口の中を火傷せずに済みました。

虎太郎くんは「美味しい?」 と笑顔で問い掛けて来ます。

海未「うん。美味しいです」

ふと思いました。虎太郎君が同年代の男の子だったら、私は素直に受け入れる事が出来たのかなと。

虎太郎『海未、あ~ん』

海未『あ~ん』

なんて・・・

海未「恥ずかし過ぎます!!!」

虎太郎「お姉ちゃん、どうしたの?」

海未「へ?い、いえ。何でもありませんよ」

頭で考えていた事がふと口に出てしまうのも私の悪い癖です。

48: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/26(金) 22:30:49.08 ID:6EgvxSuC
けど、こんな私にもいずれは恋人が出来る時が来るかもしれません。

海未「ほかに何か食べたい物はありますか?」

虎太郎「えっとね~」

今はまだ、そう言う話をするだけで恥ずかしい恥ずかしいと赤面するばかりだけど。

虎太郎「あ~かき氷。美味しいそう」

海未「本当ですね。食べましょか?」

虎太郎「うん」

でも、本当は気づいています。私が恥ずかしいと言う時。

虎太郎「ん~いちご・・・レモン・・・どうしよう」

海未「じゃあ、私がレモンを買いますから。二人で分けながら食べましょう。すいません、レモンと」

虎太郎「ブルーハワイ」

海未「ブルーハワイでいいの?」

虎太郎「うん!青いから!お姉ちゃんの名前と一緒!」

そう言う時ほど、心の中では憧れているのだと。

51: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 21:38:19.01 ID:1axQUmfF
ある程度食べ歩いて、満足したのか虎太郎くんは少し眠そうにしています。

海未「疲れちゃったかな?結構歩きましたもんね」

大丈夫と言った後すぐに彼は口を大きく開けてあくびしました。

凛「海未ちゃーーーん!!!!」

急に今日聞いた中で一番の大きな声で名前を呼ばれました。 振り返るとそこに居たのは後輩の凛。

海未「ビックリするじゃないですか」

凛「ごめんね。急に目に飛び込んで来たから。それよりも随分と珍しい組み合わせだね」

凛は私と虎太郎くんを交互に見た後、虎太郎くんの頭をを撫でながら喋り続けた。

凛「三年生は受験勉強で忙しいかなって思ってさ、今年は誘うのを遠慮したんだよ。凛はかよちんと真姫ちゃんと来てたんだけどね。二人共迷子みたいで・・・」

やれやれと言った感じで凛は頭を左右に振る。迷子なのは凛なのではとツッコミはしなかった。

凛「所で、どう言う経緯で二人は一緒に縁日を回ってるの?にこちゃんは?」

海未「一緒じゃないですよ」

凛は不思議な顔をしました。

52: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 22:00:36.61 ID:1axQUmfF
凛「じゃあ、二人だけで回ってるの?」

凛はじぃーっと私の目を見つめています。いつの間にか目線の高さも同じくらいになりました。さっきまで聞こえて居た蝉の鳴き声は気が付けば和太鼓と篠笛の音に入れ替わっていました。

海未「デートですよ。見れば分かるでしょう?」

私がそう言うと凛は何かを言おうとしましたが、我慢して言葉を飲み込んだのが分かりました。

凛「そっか。じゃあ、邪魔しちゃ悪いね」

凛はイタズラに笑うとクルッと私達に背を向けた後、そう言えばと言ってこちらに振り向きます。

凛「今日ね、凛達歌わせて貰うんだよ。良かったら見に来て。凛達だけでちゃんとやれてるからさ」

私達が引退した後、残された凛達の事を少し心配していましたが、どうやら取り越し苦労だった様です。

凛が去った後、場内アナウンスが流れ始めました。

『迷子のお知らせです。○○からお越しの星空凛ちゃん。お友達がお待ちです』

やっぱり、凛が迷子だったんじゃないですか。

53: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 22:18:37.27 ID:1axQUmfF
凛と別れて目的もなく二人で何となく歩いて居ると、虎太郎くんが射的屋を興味津々そうに眺めていたので、やってみようかと聞いてみると目をキラキラと輝かせ射的屋まで走って行きました。

パンパーン。「当たらない」と呟く虎太郎くん。初めて挑戦した射的は難しかった様でなかなか的に当たりません。

海未「虎太郎くん。もう少しこう…脇を締めた方がブレずに照準を合わせやすいと思いますよ?」

私がコツを教えながら一発引き金を引くと、見事コルクが的に当たりました。

虎太郎「お姉ちゃんの言う通りにしたら当たった!」

虎太郎くんの飲み込みの早さに若干驚きながらハイタッチをすると、嬉しそうにはしゃいでいました。

54: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 22:22:41.08 ID:1axQUmfF
海未「虎太郎くんは飲み込みが早いですね。うちの道場に欲しいくらいです」

虎太郎「道場?」

海未「うん。私の家は道場をやってるんですよ。弓道とか古武道とか日舞・・・と言っても分からないかな?」

虎太郎「分からない」

海未「でも、虎太郎君だったら直ぐに上手くなると思うんだけどなぁ」

そんな冗談を言って居ると背後から

「ちょっと。スカウトするなら姉の私を通してくれない?」

と聞き覚えのある声がしました。

55: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 22:25:17.80 ID:1axQUmfF
振り返れば立っていたのは虎太郎くんの姉の矢澤にこ。

虎太郎「お姉ちゃん!」

本当の姉には敵わう訳もなく、小さな手は私から離れて行きました。

にこ「ごめんね、こんな時間まで。希から聞いたわ」

海未「こんな時間?」

そう言えば辺りが真っ暗・・・携帯を覗くと19時を回っていました。私はこんな時間まで連れ回して・・・。

56: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 22:32:44.10 ID:1axQUmfF
にこ「ちょっと目を離した隙に居なくなるんだから。チビ達は」

聞けば縁日に向かう途中、最初に迷子になったのは三女のここあちゃんだった様で、ここあちゃんを探してる途中で虎太郎くんも逸れてしまったとの事でした。

にこ「助かったわ。まさか二人同時に迷子になるとは思わなかったしさ」

海未「いえ、気にしないで下さい。私も楽しかったですから」

57: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/27(土) 22:50:33.62 ID:1axQUmfF
虎太郎くんも楽しかったと嬉しそうに、にこに話していました。

海未「そう言えば、特設ステージで凛達が歌うみたいですね。観に行きませんか?」

にこを誘って、私達は特設ステージへ向かいました。

辺りはすっかり暗くなっていて、特設ステージは既に観客で溢れていました。司会の若手芸人が「話題のスクールアイドルグループ」と紹介するとステージの両脇から凛達が出て来ます。

左から凛、真姫、雪穂。右から亜里沙と花陽。μ'sの呪いに縛られて一時は落ち込む所まで落ち込んだのを私もにこも知っているので、彼女達が元気よくステージに立って居るのを観て、二人して顔を見合わせて喜んでいました。

60: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 21:50:05.81 ID:0uBBF6/K
凛「皆んなありがとうにゃーーー」

真姫「さあ、盛り上りも最高潮に達した所で!」

花陽「フィナーレです!空を!」

彼女達の呼び掛けに会場に居た誰もが空を見上げました。

時刻は20時。大きな大きな花火が夜空に上がりました。近い様で遠い、大きい様で小さい。思わず見惚れていると隣で観ていた虎太郎くんが私の服の袖を引っ張りました。 

虎太郎「お姉ちゃん。今日はありがとう」

打ち上がった花火は彼の顔を照らし出して直ぐに消えてしまいました。

61: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 21:52:22.41 ID:0uBBF6/K
花火が終わると会場に居た人達が一斉に帰ろうとするので行列が出来てしまいます。

にこ「虎太郎。迷子になるんじゃないわよ」

虎太郎「うん」

にこは少しだけ嫉妬した表情で私を見ていました。 私は虎太郎くんの手を離さない様に強く握りしめました。

62: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 21:55:53.45 ID:0uBBF6/K
20分くらい掛けて私達は会場から抜け出しました。

にこ「さっ、それじゃあここでお別れね」

海未「そうですね」

にこ「今日は本当ありがとう。それに悪かったわね。受験生をこんな時間まで付き合わせて。しかも、なんか色々虎太郎がご馳走になったみたいで」

そう言いながらにこは財布を出そうとしました。

63: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 22:08:34.91 ID:0uBBF6/K
海未「あっ、大丈夫ですよ。私が勝手にした事ですから」

そう言う私に、にこは「こう言う事はちゃんとしないとダメ」と言うのです。

海未「じゃあ、虎太郎くん」

私は虎太郎くんに喋り掛けます。「なあに?」虎太郎くんは聞き返して来ました。

海未「次、デートする時に虎太郎くんが奢って下さい。もし、虎太郎君が大きくなって今日の事を覚えていてくれたら、その時は」

私が小指を差し出すと彼もそれに応じて小指を出しました。

虎太郎「約束」

海未「約束です」

にこが口をあんぐりさせていました。

にこ「あ、あんた・・・本当に海未?ダメよ。海未はいい子だけど・・・直ぐに忘れなさい。お姉ちゃん認めないから!」

差し出されたこの小指もその頃にはもっと大きくなっているのかな。

64: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 22:15:41.25 ID:0uBBF6/K
8月末日。相変わらず外では蝉が大合唱をしています。

穂乃果「あ~ん。もう飽きた~」

それに負けじと穂乃果も大きな声で弱音を吐き、私は呆れてため息を吐きます。

海未「まだ勉強始めて30分でしょ!」

穂乃果「そんな事言ったって~。暑いし。やる気出ないよ~」

確かに、今日もかなり暑く座っているだけで参ってしまいそうです。 しかも、私の部屋にはエアコンがない。だからと言って受験に失敗したくないので我慢して勉強するのですが。

穂乃果「そう言いえば、海未ちゃんは縁日に行ったんだって?雪穂から聞いたよ!」

海未「あ~それは・・・成り行き上仕方なく」

穂乃果「私にはあんな事を言っておいて~。ズルイ」

穂乃果は納得がいかないと言った顔で頬を膨らませます。

海未「はあ。それは謝ります」

穂乃果「来年は絶対に一緒に行くからね!」

海未「じゃあ浪人する訳にはいきませんね」

65: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 22:26:06.38 ID:0uBBF6/K
来年、一緒に縁日に行くには受験に失敗しない様にしなくてはいけない。

穂乃果「そ、そうだね。よし、ちゃちゃっと合格しちゃって」

海未「ちゃちゃっとって言っても試験はまだ先ですが」

穂乃果「細かい事はいいの。来年からも毎年一緒に行こうね」

穂乃果が私に笑い掛けます。

海未「・・・いつまで一緒に行けるかな。お互い」

顔に出やすい私は上手く笑えて居たかな?

海未「何でもありませんよ。さあ、図書館で勉強しましょうか。ここじゃ暑いでしょう?」

穂乃果「あっ!そうだね!途中でアイス買って行こうよ。そうと決まればことりちゃんにも連絡しておかないとね」

花火大会が終わると夏はあっという間に終わってしまいます。高校最後の私の夏休みの話でした。

66: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2022/08/28(日) 22:26:11.81 ID:0uBBF6/K
終わり

67: 名無しで叶える物語(しうまい) 2022/08/28(日) 22:30:35.90 ID:vbc+H2C4

良かった

68: 名無しで叶える物語(茸) 2022/08/29(月) 16:47:27.38 ID:QfryqwOR
小太郎と指切りのシーンが良かったです

69: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2022/08/29(月) 22:54:06.94 ID:X+qV7VUW
こたろうが羨ましい

70: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2022/08/29(月) 22:54:31.03 ID:/3AETvOt
よかった
もう夏も終わるのか...

71: 名無しで叶える物語(茸) 2022/08/30(火) 20:15:44.69 ID:eCAzFuS2
海未もこたろうも楽しそう

引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1661174524/
you fooder
夏の思い出・・・。