
621: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:33:34.96 ID:cEHXdGgH
Interlude
私は超ひもになった。
高次の存在になった。
神や仏がうそぶいた境地に、私ひとり、たどり着いた。
もう、俗世の四苦八苦に囚われることはない。
私には実体はないが、渋谷の街を全裸で徘徊するような解放感が身を包んだ。
私は世界とひとつになり、すべてを超越したのだ。
この上なく満たされていた。
もう、なにもいらなかった。
……だけど、この次元には、かのんちゃんがいなかった。
私は、かのんちゃんがいい。
私は超ひもになった。
高次の存在になった。
神や仏がうそぶいた境地に、私ひとり、たどり着いた。
もう、俗世の四苦八苦に囚われることはない。
私には実体はないが、渋谷の街を全裸で徘徊するような解放感が身を包んだ。
私は世界とひとつになり、すべてを超越したのだ。
この上なく満たされていた。
もう、なにもいらなかった。
……だけど、この次元には、かのんちゃんがいなかった。
私は、かのんちゃんがいい。
622: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:34:17.69 ID:cEHXdGgH
世界とまぐわうより、かのんちゃんの近くにいたい。
かのんちゃんの存在を感じたい。かのんちゃんの笑顔がみたい。
かのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃん…………。
かのんちゃんはもう、私のことを忘れてる。
神として、閉ざされた世界に隔絶されてる。
毎日悲しい顔をして、歌を歌う。
私にできることはなんだろう?
──きらり。一縷の糸が光を反射した。
この世界は、おっきいまんまるだから。
どこまでいっても、ひとつにつながってる。
私には見える。心と心を結ぶ、その糸が。
私たちはつながってる。離れても、また巡りあう、そんな運命の輪の中にいる。
私ひとりでは変えれなかった世界。でも、みんなとなら……!
信じよう、同じ糸で結ばれた仲間たちを。
信じよう、私が嫉妬した、あの子の力を。
かのんちゃんの存在を感じたい。かのんちゃんの笑顔がみたい。
かのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃん…………。
かのんちゃんはもう、私のことを忘れてる。
神として、閉ざされた世界に隔絶されてる。
毎日悲しい顔をして、歌を歌う。
私にできることはなんだろう?
──きらり。一縷の糸が光を反射した。
この世界は、おっきいまんまるだから。
どこまでいっても、ひとつにつながってる。
私には見える。心と心を結ぶ、その糸が。
私たちはつながってる。離れても、また巡りあう、そんな運命の輪の中にいる。
私ひとりでは変えれなかった世界。でも、みんなとなら……!
信じよう、同じ糸で結ばれた仲間たちを。
信じよう、私が嫉妬した、あの子の力を。
623: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:35:06.38 ID:cEHXdGgH
第8章 冥王星的迷走
ガシャン、バキッ、ダムダム、パリーン。
可可「…………レンレン。大丈夫デスか?」
恋「は、はい! 地図上では、まっすぐバベルへと向かってますよ!」ガリガリガリ
文字通り、目的地へと直進する車。道路も畑も関係なく、縦横無尽に走り、車内は浮遊感とGの応酬デス。
ククは、動かなくなったサヤさんが飛ばされてしまわぬよう、しっかりと抱きしめていマス。
サヤさんは、革命分子の変異体にハッキングされ、見境なく暴れ出しマシタ。なので電源を切っておいたのデス。
ただレンレンは、サヤさんひとりを家に置いていくのが心配なようで、いっしょにつれていくことにしマシタ。
恋「ふぅ……。なんとかバベルに着きましたが……」
可可「おぇ……どうかしマシタかぁ……?」
恋「……検問所に、だれもいらっしゃらないのデス」
ガシャン、バキッ、ダムダム、パリーン。
可可「…………レンレン。大丈夫デスか?」
恋「は、はい! 地図上では、まっすぐバベルへと向かってますよ!」ガリガリガリ
文字通り、目的地へと直進する車。道路も畑も関係なく、縦横無尽に走り、車内は浮遊感とGの応酬デス。
ククは、動かなくなったサヤさんが飛ばされてしまわぬよう、しっかりと抱きしめていマス。
サヤさんは、革命分子の変異体にハッキングされ、見境なく暴れ出しマシタ。なので電源を切っておいたのデス。
ただレンレンは、サヤさんひとりを家に置いていくのが心配なようで、いっしょにつれていくことにしマシタ。
恋「ふぅ……。なんとかバベルに着きましたが……」
可可「おぇ……どうかしマシタかぁ……?」
恋「……検問所に、だれもいらっしゃらないのデス」
624: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:36:09.26 ID:cEHXdGgH
その時、ラジオが電波を受信しマシタ。
『現在バベルは、混乱に包まれております』
『突如として暴走したアンドロイドが、街を破壊しています』
『国民は、不良品となったアンドロイドを捕らえ、処分をはじめました』
可可「アンドロイドが……」
可可「……きっと変異体たちは、この混乱に乗じて、バベルに侵入したに違いありマセン」
恋「はい、わたくしもそう思います」
恋「ただ、この国には防衛組織というものがありません……。なにせ、完全なる国民の支配をもとに国作りしてきましたから、革命は想定外の事態なのです……」
可可「では、かのんは……!」
恋「……急ぎましょう!」
『現在バベルは、混乱に包まれております』
『突如として暴走したアンドロイドが、街を破壊しています』
『国民は、不良品となったアンドロイドを捕らえ、処分をはじめました』
可可「アンドロイドが……」
可可「……きっと変異体たちは、この混乱に乗じて、バベルに侵入したに違いありマセン」
恋「はい、わたくしもそう思います」
恋「ただ、この国には防衛組織というものがありません……。なにせ、完全なる国民の支配をもとに国作りしてきましたから、革命は想定外の事態なのです……」
可可「では、かのんは……!」
恋「……急ぎましょう!」
625: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:37:09.97 ID:cEHXdGgH
サヤさんを車内に残し、急いで塔へと向かいマス。
国民A「くたばれ!」ガンッ
アンドロイド『やめ、て……ガガ……』
可可「っ……」
それは、すみれではないと理解していマスが……。
すみれの声で、苦しげに喘ぐのを耳にすると、居たたまれない気分になりマス。
国民B「ねえ、聞いた? 東部のアンドロイド工場、爆破するってよ」
国民C「それはいい! もはやアンドロイドは、神に仇なす反逆者だ。根絶やしにしてしまえ!」
可可「!!」
つないだ手を強く握りしめてしまい、ククの心情がレンレンに伝わりマシタ。
恋「いますぐ、工場へと向かえば……まだ眠っているアンドロイドたちを助けられるかもしれないです」
可可「しかし、そうすると……かのんが……」
かのんか、すみれか。ひとつを選べば、もう片方を失ってしまいマス。
どれだけ模索しても、第三の選択肢は現れませんデシタ。
国民A「くたばれ!」ガンッ
アンドロイド『やめ、て……ガガ……』
可可「っ……」
それは、すみれではないと理解していマスが……。
すみれの声で、苦しげに喘ぐのを耳にすると、居たたまれない気分になりマス。
国民B「ねえ、聞いた? 東部のアンドロイド工場、爆破するってよ」
国民C「それはいい! もはやアンドロイドは、神に仇なす反逆者だ。根絶やしにしてしまえ!」
可可「!!」
つないだ手を強く握りしめてしまい、ククの心情がレンレンに伝わりマシタ。
恋「いますぐ、工場へと向かえば……まだ眠っているアンドロイドたちを助けられるかもしれないです」
可可「しかし、そうすると……かのんが……」
かのんか、すみれか。ひとつを選べば、もう片方を失ってしまいマス。
どれだけ模索しても、第三の選択肢は現れませんデシタ。
626: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:38:09.34 ID:cEHXdGgH
すみれ──といっても、アンドロイド≠すみれなのは重々承知していマス。容姿と声が同じというだけの、ただの機械だとわかっていマス。
それでもククは、アンドロイドたちに対し、特別な感情を抱かずにはいられマセン!
この想いを喩えるなら、キャラクターの顔を模したお菓子を食べるような感じデス。
お菓子だとわかっていても、そのキャラクターの肉を食いちぎり、顔面に歯形を残してしまう罪悪感が、心のどこかにあるのデス。
いまもそうデス。すみれをモデルにしたアンドロイドが、勝手に操られ、理不尽に壊されていくのが、ククには堪えがたいのデス。
できることなら、まもってあげたい!
でも…………。
可可「…………かのんのもとへ、急ぎマショウ」
恋「クゥクゥさん……。はい!」
電波塔が近づくにつれ、後悔が影を伸ばしマス。
アンドロイドは、機械……。デスが、かのんは、ひとりの人間……。命の重さは平等ではありマセン。
ククはかのん救出を優先すべきだと思いマシタ。……しかし、間違えた方向に迷走しているような気がしてなりませんデシタ……。
『この宇宙での金科玉条はね、「常に自分を信じること」!』
信じる……そうデス。いまはとにかく、この決断を信じるしかありマセン……!
ククたちは、かのんを助けるため、ひた走りマシタ。
それでもククは、アンドロイドたちに対し、特別な感情を抱かずにはいられマセン!
この想いを喩えるなら、キャラクターの顔を模したお菓子を食べるような感じデス。
お菓子だとわかっていても、そのキャラクターの肉を食いちぎり、顔面に歯形を残してしまう罪悪感が、心のどこかにあるのデス。
いまもそうデス。すみれをモデルにしたアンドロイドが、勝手に操られ、理不尽に壊されていくのが、ククには堪えがたいのデス。
できることなら、まもってあげたい!
でも…………。
可可「…………かのんのもとへ、急ぎマショウ」
恋「クゥクゥさん……。はい!」
電波塔が近づくにつれ、後悔が影を伸ばしマス。
アンドロイドは、機械……。デスが、かのんは、ひとりの人間……。命の重さは平等ではありマセン。
ククはかのん救出を優先すべきだと思いマシタ。……しかし、間違えた方向に迷走しているような気がしてなりませんデシタ……。
『この宇宙での金科玉条はね、「常に自分を信じること」!』
信じる……そうデス。いまはとにかく、この決断を信じるしかありマセン……!
ククたちは、かのんを助けるため、ひた走りマシタ。
627: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:39:11.76 ID:cEHXdGgH
☆
暴動がしょうけつを極める、白の広場。
そこは、新人類とアンドロイドとのバーリトゥードが繰り広げられる、真っただ中デシタ。
恋「困りました……。これでは塔まで行けません」
恋「遠回りしていたら、時間が大幅なロスとなりますし……」
可可「スミマセン……。ククは足手まといデスね」
恋「そ、そんなことありません! ……とにかくいまは、ここを抜ける方法を考えねば──」
ガンッ! ガンッ! キィイイイ!!
スキール音がククたちの横を通過し、大乱闘へ参戦しマシタ。
サヤ「……すみません、先生」
サヤ「先生のお車に、たくさん傷をつけてしまいました」
恋「い、いえ…………これらはすべて、わたくしがつけたものですが……」
恋「サヤさん! どうしてここに……!?」
サヤ「……先生がピンチとあったら、いつまでも眠っているわけにはいきませんから」
暴動がしょうけつを極める、白の広場。
そこは、新人類とアンドロイドとのバーリトゥードが繰り広げられる、真っただ中デシタ。
恋「困りました……。これでは塔まで行けません」
恋「遠回りしていたら、時間が大幅なロスとなりますし……」
可可「スミマセン……。ククは足手まといデスね」
恋「そ、そんなことありません! ……とにかくいまは、ここを抜ける方法を考えねば──」
ガンッ! ガンッ! キィイイイ!!
スキール音がククたちの横を通過し、大乱闘へ参戦しマシタ。
サヤ「……すみません、先生」
サヤ「先生のお車に、たくさん傷をつけてしまいました」
恋「い、いえ…………これらはすべて、わたくしがつけたものですが……」
恋「サヤさん! どうしてここに……!?」
サヤ「……先生がピンチとあったら、いつまでも眠っているわけにはいきませんから」
628: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:39:51.90 ID:cEHXdGgH
キィイイイイイイイイイイ!!!
静かなエンジンからは想像もできない唸り声が、広場中に響きマス。
国民D「おい! アンドロイドが車に乗ってるぞ!」
国民E「なんだ!? 敵味方関係なく暴れてる!」
国民F「だれか止めろ!」
恋「サヤさんが道をひらいてくれました……!」
可可「行きマショウ!」
通り抜ける背後で、怒号と悲鳴が飛び交いマス。
混迷していたその場には、ひとつの秩序が生まれていマシタ。
新人類、アンドロイドともに、共通の敵が現れたため、サヤさんひとりにすべてのが集まっていたのデス。
恋「サヤさん……!」
サヤ「私のことは気にせず、進んでください!!」
恋「……はい! ありがとうございます、サヤさん!」
サヤ「…………」
サヤ「お嬢様……」
サヤ「どうか、ご無事で──」
静かなエンジンからは想像もできない唸り声が、広場中に響きマス。
国民D「おい! アンドロイドが車に乗ってるぞ!」
国民E「なんだ!? 敵味方関係なく暴れてる!」
国民F「だれか止めろ!」
恋「サヤさんが道をひらいてくれました……!」
可可「行きマショウ!」
通り抜ける背後で、怒号と悲鳴が飛び交いマス。
混迷していたその場には、ひとつの秩序が生まれていマシタ。
新人類、アンドロイドともに、共通の敵が現れたため、サヤさんひとりにすべてのが集まっていたのデス。
恋「サヤさん……!」
サヤ「私のことは気にせず、進んでください!!」
恋「……はい! ありがとうございます、サヤさん!」
サヤ「…………」
サヤ「お嬢様……」
サヤ「どうか、ご無事で──」
629: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:41:15.12 ID:cEHXdGgH
☆
電波塔に着いた、ククとレンレン。
ここで、新たな問題が生じマシタ。
恋「エレベーターが動きません……! どうやら上層へ行けなくするために、停止しているようです」
可可「……確か、階段がありマシタよね? そちらから行きマショウ!」
恋「!? か、階段ですか……」
恋「階段は、エレベーターの周囲を巡って、上へと伸びていますが……果てが見えません。いったい何段あるのやら……」
可可「なにを弱気な! かのんのピンチなのデスよ!?」
恋「うっ……そうですね。葉月恋、覚悟を決めました……!」
可可「その意気デス! さあ、かのんのもとへ──」
「行かせないわ」
──うるうるうる
恋「もごっ……!」
可可「レンレン!?」
電波塔に着いた、ククとレンレン。
ここで、新たな問題が生じマシタ。
恋「エレベーターが動きません……! どうやら上層へ行けなくするために、停止しているようです」
可可「……確か、階段がありマシタよね? そちらから行きマショウ!」
恋「!? か、階段ですか……」
恋「階段は、エレベーターの周囲を巡って、上へと伸びていますが……果てが見えません。いったい何段あるのやら……」
可可「なにを弱気な! かのんのピンチなのデスよ!?」
恋「うっ……そうですね。葉月恋、覚悟を決めました……!」
可可「その意気デス! さあ、かのんのもとへ──」
「行かせないわ」
──うるうるうる
恋「もごっ……!」
可可「レンレン!?」
630: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:42:15.78 ID:cEHXdGgH
「我々よりも到着が早いなんて……どんな運転で来たのかしら……?」
恋「ごぼっ……!!」
可可「れ、レンレンになにをしたのデスか!? 離してクダサイ!!」
「離したら、我々の標的である"神"を助けに行っちゃうでしょ?」
可可「……ここに神はいマセン。いるのは、記憶をうばわれた女性だけデス」
「神はいない……? だったらなぜ、新人類は神を崇めるの? なぜ、支配は終わらないの?」
可可「知りマセンよ、そんなこと! 惑星国家の内情とか、新人類がどうのこうのとか、ククには全部どうでもいいんデス!」
可可「──ククは、かのんを助けたい! 原動力はそれだけデス!」
「かのんさん……」
可可「うるうるさん! 神殺しなんてばかなまね、いますぐやめてクダサイ!」
「…………」
「もう、止まれないわ……」
可可「……!」
恋「ごぼっ……!!」
可可「れ、レンレンになにをしたのデスか!? 離してクダサイ!!」
「離したら、我々の標的である"神"を助けに行っちゃうでしょ?」
可可「……ここに神はいマセン。いるのは、記憶をうばわれた女性だけデス」
「神はいない……? だったらなぜ、新人類は神を崇めるの? なぜ、支配は終わらないの?」
可可「知りマセンよ、そんなこと! 惑星国家の内情とか、新人類がどうのこうのとか、ククには全部どうでもいいんデス!」
可可「──ククは、かのんを助けたい! 原動力はそれだけデス!」
「かのんさん……」
可可「うるうるさん! 神殺しなんてばかなまね、いますぐやめてクダサイ!」
「…………」
「もう、止まれないわ……」
可可「……!」
631: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:43:08.38 ID:cEHXdGgH
「あー、ちょっとこの階段は昇れないねー」
「いま、エレベーターを操作する機械に接続中。じきに動かせる」
「……じゃあ、それまで少し、待つことにしましょう」
恋「クゥクゥ、さん……! 早く、上へ……」
可可「!」
足踏みしている場合ではありマセン……! 一刻も早く、かのんのもとへ……!!
可可「……レンレンに傷をつけたら、ククが許しマセンよ」
「ええ、わかってるわ」
レンレンと別れ、ククは駆け出しマス!
かのん、かのん……かのん…………!!
「いま、エレベーターを操作する機械に接続中。じきに動かせる」
「……じゃあ、それまで少し、待つことにしましょう」
恋「クゥクゥ、さん……! 早く、上へ……」
可可「!」
足踏みしている場合ではありマセン……! 一刻も早く、かのんのもとへ……!!
可可「……レンレンに傷をつけたら、ククが許しマセンよ」
「ええ、わかってるわ」
レンレンと別れ、ククは駆け出しマス!
かのん、かのん……かのん…………!!
632: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:44:11.54 ID:cEHXdGgH
☆
可可「あいやー!!」ドテッ
視界0の全力疾走で、しかも階段昇りは、転倒の連続。
でもすぐに立ち上がり、また走り出しマス!
一辺あたりの段数と、段の幅、高さは把握しマシタ。あとは、ひたすら足を動かすだけ!
カンカンカンカンカンカンカンカン。
可可「はあ、はあ、はあ、はあ…………」
どれくらいまで来たデショウか。
だんだん足もとがふらつきはじめ、また転ぶようになりマシタ。
でも立ち上がりマス! こんなところで休んでられないデスから!
早く、早く……行かなくちゃ……!
スゥゥゥ…………。
可可「!!」
エレベーターが、音もなく下に降りていきマシタ……。
どうやら、すでに復旧し、作動しているようデス……。もうすぐ、変異体たちが上がってきマス……!
急がなくては……! いま以上に、ダッシュで……!!
カンカンカンカンカンカンカンカン。90度曲がって、またカンカンカンカンカンカンカンカン。
よろめきも踏ん張り、さらに駆け上がりマス!
正方形の辺上を移動し続ける点Pのように、くるくるくるくると上を目指しマス!
可可「うっ……はあ、はあ、はあ…………」
どれだけ苦しくても、立ち止まったりしマセン!
かのん……! 待っていてクダサイ……!!
必ずククが、助けてみせマス…………!!
可可「あいやー!!」ドテッ
視界0の全力疾走で、しかも階段昇りは、転倒の連続。
でもすぐに立ち上がり、また走り出しマス!
一辺あたりの段数と、段の幅、高さは把握しマシタ。あとは、ひたすら足を動かすだけ!
カンカンカンカンカンカンカンカン。
可可「はあ、はあ、はあ、はあ…………」
どれくらいまで来たデショウか。
だんだん足もとがふらつきはじめ、また転ぶようになりマシタ。
でも立ち上がりマス! こんなところで休んでられないデスから!
早く、早く……行かなくちゃ……!
スゥゥゥ…………。
可可「!!」
エレベーターが、音もなく下に降りていきマシタ……。
どうやら、すでに復旧し、作動しているようデス……。もうすぐ、変異体たちが上がってきマス……!
急がなくては……! いま以上に、ダッシュで……!!
カンカンカンカンカンカンカンカン。90度曲がって、またカンカンカンカンカンカンカンカン。
よろめきも踏ん張り、さらに駆け上がりマス!
正方形の辺上を移動し続ける点Pのように、くるくるくるくると上を目指しマス!
可可「うっ……はあ、はあ、はあ…………」
どれだけ苦しくても、立ち止まったりしマセン!
かのん……! 待っていてクダサイ……!!
必ずククが、助けてみせマス…………!!
633: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:45:03.47 ID:cEHXdGgH
………………………。
………………………。
空港を出ると、初めてのにおいがしマシタ。
……いずれはこのにおいも、日常の一部となって、感じなくなってしまうのデショウか?
そうなったら、よろこばしいことデスが……。いまのこの感覚を、忘れないよう、大切にしたいものデス。
可可『にっぽん……! ついに来マシタぁ……!!』
スーツケースをからから転がし、これからお世話になるアパートへ。
ネットで調べた情報を参考に、隣近所へ"つまらないもの"を配りマス。なぜつまらないのに他人に渡すのか、よくわかりマセンが、これが土地に根付いた文化というやつなのデショウ。
初日から異文化体験を済ませ、部屋の荷物を簡単に荷ほどきすると、ククは外へ出マシタ。
あてもなくふらふらと、これから暮らすことになる街を探検しマス。もちろん、ちゃんと帰ってこられるよう、地図を見ながらデスが。
途中で、神社を見つけマシタ。なんの神がいるかは知りマセンが、周りの人の見よう見まねで参拝しマス。
ミナサン、お賽銭には小銭を使っていマシタが、ククはあいにく持ち合わせていませんデシタ。
なので、財布から1万円札を出して、箱の中にひらひら落としマシタ。するとどこかから「ギャラクシー!?」という、ばかみたいな声が聞こえてきマシタ。
………………………。
空港を出ると、初めてのにおいがしマシタ。
……いずれはこのにおいも、日常の一部となって、感じなくなってしまうのデショウか?
そうなったら、よろこばしいことデスが……。いまのこの感覚を、忘れないよう、大切にしたいものデス。
可可『にっぽん……! ついに来マシタぁ……!!』
スーツケースをからから転がし、これからお世話になるアパートへ。
ネットで調べた情報を参考に、隣近所へ"つまらないもの"を配りマス。なぜつまらないのに他人に渡すのか、よくわかりマセンが、これが土地に根付いた文化というやつなのデショウ。
初日から異文化体験を済ませ、部屋の荷物を簡単に荷ほどきすると、ククは外へ出マシタ。
あてもなくふらふらと、これから暮らすことになる街を探検しマス。もちろん、ちゃんと帰ってこられるよう、地図を見ながらデスが。
途中で、神社を見つけマシタ。なんの神がいるかは知りマセンが、周りの人の見よう見まねで参拝しマス。
ミナサン、お賽銭には小銭を使っていマシタが、ククはあいにく持ち合わせていませんデシタ。
なので、財布から1万円札を出して、箱の中にひらひら落としマシタ。するとどこかから「ギャラクシー!?」という、ばかみたいな声が聞こえてきマシタ。
634: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:46:11.53 ID:cEHXdGgH
神様だか仏様だかに頭を下げ、日本で健康に過ごせるようお祈りしマシタ。
それから、オミクジなるものをひいてみマシタ。なんと、お代は無料デシタ!
『お姉ちゃんから言われたんだけど、間違えてお賽銭に、一万円入れちゃったそうですね。だから、無料でいいって』
可可『はあ……?』
まだ日本の文化には暗かったのもあり、言われるがままに従い、おみくじを引きマシタ。
可可『……大凶』
これは確か……最下位の運勢だったはず。
なんてことデスか! 来日した初日から、運勢最悪とは!
ガチャ感覚で引き直そうと思いマシタが、無料にしてもらったものをさらに要求するのは、オコガマシイような気がしマス。
結局、ククは大凶を受け入れマシタ。不本意デスが……。
それから、オミクジなるものをひいてみマシタ。なんと、お代は無料デシタ!
『お姉ちゃんから言われたんだけど、間違えてお賽銭に、一万円入れちゃったそうですね。だから、無料でいいって』
可可『はあ……?』
まだ日本の文化には暗かったのもあり、言われるがままに従い、おみくじを引きマシタ。
可可『……大凶』
これは確か……最下位の運勢だったはず。
なんてことデスか! 来日した初日から、運勢最悪とは!
ガチャ感覚で引き直そうと思いマシタが、無料にしてもらったものをさらに要求するのは、オコガマシイような気がしマス。
結局、ククは大凶を受け入れマシタ。不本意デスが……。
635: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/28(水) 04:46:44.61 ID:cEHXdGgH
おみくじにはいろいろ書いてありマシタ。なんだか難しい言葉ばかりで、意味はいまいちわかりマセンが……。
ククはその中に、こんな文言を見つけマス。
「未来はあなたの行動次第。」
「出会いが運命を変える。」
可可『……運命』
ベートーヴェン以外が使うと安っぽくなるこの単語。色恋に溺れた愚か者なんかが、ばかのひとつ覚えのように使っていマス。
……運命を変える出会いなど、そうそうあるとは思えマセン。
そんなこと、あるわけ──。
かのん『──るるる~♪』
可可『はああああああ!!!!!』
全身を走る衝撃! この感覚は、間違ってないはず!
見つけマシタぁ! ククの、運命の人……!
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
ククはその中に、こんな文言を見つけマス。
「未来はあなたの行動次第。」
「出会いが運命を変える。」
可可『……運命』
ベートーヴェン以外が使うと安っぽくなるこの単語。色恋に溺れた愚か者なんかが、ばかのひとつ覚えのように使っていマス。
……運命を変える出会いなど、そうそうあるとは思えマセン。
そんなこと、あるわけ──。
かのん『──るるる~♪』
可可『はああああああ!!!!!』
全身を走る衝撃! この感覚は、間違ってないはず!
見つけマシタぁ! ククの、運命の人……!
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
637: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:27:27.71 ID:ctpyyijd
☆
ドンドンドン!
可可「…………かのん! ククデス!」
かのん「クゥクゥちゃん……?」
可可「かのん! いますぐ出てきてクダサイ!」
可可「このままでは、かのんがころされるデス……!」
かのん「えっ……こ、ころされるぅ!? 私が……?」
かのん「……いやいやまっさか~。冗談、だよね……?」
可可「……お願いデス。急がないと、やつらが来マス!」
かのん「…………」
かのん「む、むりむりむり! 私、ずっとこの部屋にいて……外とか、怖くて出たことないし!」
可可「かのん……!」
かのん「……いやだ、出たくない」
かのん「怖いよ……」
ドンドンドン!
可可「…………かのん! ククデス!」
かのん「クゥクゥちゃん……?」
可可「かのん! いますぐ出てきてクダサイ!」
可可「このままでは、かのんがころされるデス……!」
かのん「えっ……こ、ころされるぅ!? 私が……?」
かのん「……いやいやまっさか~。冗談、だよね……?」
可可「……お願いデス。急がないと、やつらが来マス!」
かのん「…………」
かのん「む、むりむりむり! 私、ずっとこの部屋にいて……外とか、怖くて出たことないし!」
可可「かのん……!」
かのん「……いやだ、出たくない」
かのん「怖いよ……」
638: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:28:52.16 ID:ctpyyijd
「ここに、神がいるんだね!」
可可「!!」
かのんが渋っているうちに、すぐそこまで追手が迫っていマシタ。
何人いるのかもわかりマセンが、ククは手を横に出し、立ちふさがりマス。
「そこ、どいてくれないかな?」
「……あなた、クゥクゥちゃんだよね。私、ラブライブの予選でLiella!のこと観てたよ!」
「かわいらしいなぁって思ってて……。だからあまり、手荒なことしたくないんだよね」
可可「……どうして、神殺しに執着するのデスか!」
「だって、神だから。私たちを破滅させた悪だから」
可可「違いマス! かのんはそんなことしていマセン! そもそも、時系列を考えても、かのんが惑星国家に来る前から支配はあったはずデス! つまりかのんは、傀儡でしかないんデス!」
「……だから? 神であることには変わりないよね?」
可可「!?」
なんデスか……。言葉が通じマセン……。
これではまるで、バベルの塔の話みたいではないデスか……!
可可「!!」
かのんが渋っているうちに、すぐそこまで追手が迫っていマシタ。
何人いるのかもわかりマセンが、ククは手を横に出し、立ちふさがりマス。
「そこ、どいてくれないかな?」
「……あなた、クゥクゥちゃんだよね。私、ラブライブの予選でLiella!のこと観てたよ!」
「かわいらしいなぁって思ってて……。だからあまり、手荒なことしたくないんだよね」
可可「……どうして、神殺しに執着するのデスか!」
「だって、神だから。私たちを破滅させた悪だから」
可可「違いマス! かのんはそんなことしていマセン! そもそも、時系列を考えても、かのんが惑星国家に来る前から支配はあったはずデス! つまりかのんは、傀儡でしかないんデス!」
「……だから? 神であることには変わりないよね?」
可可「!?」
なんデスか……。言葉が通じマセン……。
これではまるで、バベルの塔の話みたいではないデスか……!
639: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:30:08.62 ID:ctpyyijd
──するするする
「……ど、どいて!」グンッ
可可「うぐぅっ……!?」
死角から巨大なハンマーで殴られマシタ……。全方位すべて死角デスけど……。
──ぶるぶるぶるぶるぶるぶる
「……灰にするよ?」
可可「っ……!」
かのん「クゥクゥちゃん!? やめて……逃げてよ……!」
可可「……いやデス」
かのん「なんで!? どうして私のこと、そこまでして助けようとしてくれるの……!?」
かのん「私なんかのために……。記憶もないのに……どうして……?」
可可「…………」
可可「ククは……かのんのスバラシイ声に、惚れたんデス」
かのん「え……?」
可可「あの時、かのんと初めて会ったあの瞬間……。ククの運命は変わりマシタ」
可可「かのんはククの、恩人デス……! 絶対に助けてみせマス……!!」
かのん「クゥクゥちゃん…………」
「……ど、どいて!」グンッ
可可「うぐぅっ……!?」
死角から巨大なハンマーで殴られマシタ……。全方位すべて死角デスけど……。
──ぶるぶるぶるぶるぶるぶる
「……灰にするよ?」
可可「っ……!」
かのん「クゥクゥちゃん!? やめて……逃げてよ……!」
可可「……いやデス」
かのん「なんで!? どうして私のこと、そこまでして助けようとしてくれるの……!?」
かのん「私なんかのために……。記憶もないのに……どうして……?」
可可「…………」
可可「ククは……かのんのスバラシイ声に、惚れたんデス」
かのん「え……?」
可可「あの時、かのんと初めて会ったあの瞬間……。ククの運命は変わりマシタ」
可可「かのんはククの、恩人デス……! 絶対に助けてみせマス……!!」
かのん「クゥクゥちゃん…………」
640: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:31:02.54 ID:ctpyyijd
ガチャ。
「お、出てきた」
可可「か、かのん!! なぜ出てくるのデスかぁ!?」
かのん「ええっ!? だって、クゥクゥちゃんが出てきてって言うから……」
可可「それは敵がいなかったからデス! いまは状況が変わってマスから……」
「──バイバイ!」ダッ
可可「!! しまっ──」
かのん「クゥクゥちゃん!!」グイッ
敵の突進を、間一髪。かのんのおかげでよけられた!
しかし、床に伏せるように倒れてしまったふたり。上から追撃──。
グンッ!
可可「あぐっ!!」
かのん「クゥクゥちゃん!? ああ! ごめんなさい……!!」
可可「大丈夫……デェス……! それより、逃げなきゃ……」
「お、出てきた」
可可「か、かのん!! なぜ出てくるのデスかぁ!?」
かのん「ええっ!? だって、クゥクゥちゃんが出てきてって言うから……」
可可「それは敵がいなかったからデス! いまは状況が変わってマスから……」
「──バイバイ!」ダッ
可可「!! しまっ──」
かのん「クゥクゥちゃん!!」グイッ
敵の突進を、間一髪。かのんのおかげでよけられた!
しかし、床に伏せるように倒れてしまったふたり。上から追撃──。
グンッ!
可可「あぐっ!!」
かのん「クゥクゥちゃん!? ああ! ごめんなさい……!!」
可可「大丈夫……デェス……! それより、逃げなきゃ……」
641: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:31:49.76 ID:ctpyyijd
「おっと、どこに逃げるつもりかな?」
可可「……それは…………」
「下よ、下!」
可可「下……」
「あはは。逃すと思う?」
「エレベーターは、袋のねずみ……。階段も、すぐに追いつく……」
可可「……………………」
ありぇ…………いま、違う声が聞こえたような……。
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「…………かのん。この欄干の下は、どうなってマスか?」
かのん「え……下は…………ひぃぃ!? た、高っ!! ここ、こんなに高かったのぉ!?」
かのん「ここから落ちたら、地面まで真っ逆さまだよ……!!」
可可「……そうデスか」
ククはかのんにぎゅーっと抱きつきマシタ。
可可「それでは、かのん。ククといっしょに飛び降りマショウ!」ギュー
かのん「……………………え?」
可可「……それは…………」
「下よ、下!」
可可「下……」
「あはは。逃すと思う?」
「エレベーターは、袋のねずみ……。階段も、すぐに追いつく……」
可可「……………………」
ありぇ…………いま、違う声が聞こえたような……。
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「…………かのん。この欄干の下は、どうなってマスか?」
かのん「え……下は…………ひぃぃ!? た、高っ!! ここ、こんなに高かったのぉ!?」
かのん「ここから落ちたら、地面まで真っ逆さまだよ……!!」
可可「……そうデスか」
ククはかのんにぎゅーっと抱きつきマシタ。
可可「それでは、かのん。ククといっしょに飛び降りマショウ!」ギュー
かのん「……………………え?」
642: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:32:51.57 ID:ctpyyijd
かのん「いやいやいやいやいやいやいや!! むりむりむりむりむりむりむりむりむり!!?」
可可「心配いりマセン! 下まで落ちれば、いまこの窮地から、脱出できマス!」
かのん「人生からもね! 普通に死んじゃうよぉ!?」
かのん「…………あ、あの……クゥクゥさん? 本気で言ってるの……?」
可可「もちろんデス!」ギュー
かのん「うわぁっ!? 離してくれない……!」
かのん「ちょ、私をころそうとしてるそこのおふたり! 助けてー!!」
「あはは。なんか叫んでる」
かのん「!! 言葉が通じないよぉ!?」
かのん「やだやだやだやだやだやだぁーーー!! 死ぬにしても、飛び降りだけはやだぁぁぁーーー!!」
かのん「私ね、記憶ないけどさ、たぶん高所恐怖症だよ!? さっきからひざガクガクだもん!!」
可可「それでは、いきマスよー!!」
かのん「いやぁ!! 神様ぁ! どうか助けてください……!」
ずりずりと、身体が欄干の外へと引き込まれ……やがて自由落下がはじまりマシタ。
かのん「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?」
可可「心配いりマセン! 下まで落ちれば、いまこの窮地から、脱出できマス!」
かのん「人生からもね! 普通に死んじゃうよぉ!?」
かのん「…………あ、あの……クゥクゥさん? 本気で言ってるの……?」
可可「もちろんデス!」ギュー
かのん「うわぁっ!? 離してくれない……!」
かのん「ちょ、私をころそうとしてるそこのおふたり! 助けてー!!」
「あはは。なんか叫んでる」
かのん「!! 言葉が通じないよぉ!?」
かのん「やだやだやだやだやだやだぁーーー!! 死ぬにしても、飛び降りだけはやだぁぁぁーーー!!」
かのん「私ね、記憶ないけどさ、たぶん高所恐怖症だよ!? さっきからひざガクガクだもん!!」
可可「それでは、いきマスよー!!」
かのん「いやぁ!! 神様ぁ! どうか助けてください……!」
ずりずりと、身体が欄干の外へと引き込まれ……やがて自由落下がはじまりマシタ。
かのん「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?」
643: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:33:51.75 ID:ctpyyijd
可可「ひゃっほおおおおおーーー!!!」
かのん「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
かのん「死ぬうううううう!!! 死んじゃううううううううううううううううううううう!!!!!」
かのん「いやだああああああああああああああああああああああああああ────」
かのん「」
かのんが気絶すると、空気のこすれる音だけが残った。
ククとかのんは加速し続け、一直線に、地面へと叩きつけられようとしている。
このままでは、かのんは死んでしまいマス。
……ククは、信じていマスよ。
『まったく……クゥクゥちゃんは無茶するなぁ』
『でも、この行動力が、かのんちゃんを変えたんだよね』
かのん「……………………はっ! え!? まだ落ちてるううううううう!!?」
可可「かのん! 意識戻ったんデスね!!」
かのん「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああ──」
『──よいしょ♪』
落下エネルギーは高次に包まれ、すべて霧散しマシタ。
ククたちは、すべすべの毛に捕まり、地面をすり抜けていきマシタ。
…………千砂都なら必ず、ククたちを拾ってくれると、信じてマシタよ……!
かのん「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
かのん「死ぬうううううう!!! 死んじゃううううううううううううううううううううう!!!!!」
かのん「いやだああああああああああああああああああああああああああ────」
かのん「」
かのんが気絶すると、空気のこすれる音だけが残った。
ククとかのんは加速し続け、一直線に、地面へと叩きつけられようとしている。
このままでは、かのんは死んでしまいマス。
……ククは、信じていマスよ。
『まったく……クゥクゥちゃんは無茶するなぁ』
『でも、この行動力が、かのんちゃんを変えたんだよね』
かのん「……………………はっ! え!? まだ落ちてるううううううう!!?」
可可「かのん! 意識戻ったんデスね!!」
かのん「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああ──」
『──よいしょ♪』
落下エネルギーは高次に包まれ、すべて霧散しマシタ。
ククたちは、すべすべの毛に捕まり、地面をすり抜けていきマシタ。
…………千砂都なら必ず、ククたちを拾ってくれると、信じてマシタよ……!
644: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:34:44.13 ID:ctpyyijd
………………………。
………………………。
一筋の風が、髪をなびかせマシタ。
なつかしいにおいが、ククの鼻を撫でマス。
初めて日本に来た時に感じ、ずっと大切にしていた、初めてのにおい──。
可可『…………春のにおいがしマス』
きな子『えっ!』
となりを歩いていたきなきなが、目をまんまるにして驚いていマシタ。
可可『どうかしマシタか、きなきな?』
きな子『あ、いや……ちょっとびっくりしたっす』
きな子『さっき、まったく同じことを、すみれ先輩も言ってたっすから』
可可『!? す、すみれも……デスか……!』
………………………。
一筋の風が、髪をなびかせマシタ。
なつかしいにおいが、ククの鼻を撫でマス。
初めて日本に来た時に感じ、ずっと大切にしていた、初めてのにおい──。
可可『…………春のにおいがしマス』
きな子『えっ!』
となりを歩いていたきなきなが、目をまんまるにして驚いていマシタ。
可可『どうかしマシタか、きなきな?』
きな子『あ、いや……ちょっとびっくりしたっす』
きな子『さっき、まったく同じことを、すみれ先輩も言ってたっすから』
可可『!? す、すみれも……デスか……!』
645: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:35:40.64 ID:ctpyyijd
ほおが桜色に染まりマシタ。ククは必死に弁明を試みマス。
可可『ち、違いマスよ? これは、すみれのまねではなく、ククが感じた感覚デスから!』
きな子『……じゃあ、感じ方がおそろいなんすね?』
可可『!?』
もっと恥ずかしい解釈をされ、さらに濃く染まりマス。
なんとか話題を逸らそうと、きなきなに提案してみマシタ。
可可『き、きなきな! 今度ククとおでかけしマショウ!』
きな子『! いくっすいくっす!!』
噴水『ブシャー』
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
可可『ち、違いマスよ? これは、すみれのまねではなく、ククが感じた感覚デスから!』
きな子『……じゃあ、感じ方がおそろいなんすね?』
可可『!?』
もっと恥ずかしい解釈をされ、さらに濃く染まりマス。
なんとか話題を逸らそうと、きなきなに提案してみマシタ。
可可『き、きなきな! 今度ククとおでかけしマショウ!』
きな子『! いくっすいくっす!!』
噴水『ブシャー』
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
646: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:36:47.10 ID:ctpyyijd
☆
かのん「…………」
かのん「生きてる?」
可可「はい! なんとか逃げられマシタ!」
かのん「よ、よかったぁ……」
ガサゴソ。
かのん「ひぃ!? な、なにかいる……!」
かのん「真っ暗でなにも見えないよ……クゥクゥちゃあん……!」
可可「ククはここデスよ~」
どうやらククたちは、地面を貫通し、地下まで落ちてきたようデス。
光が途絶えた闇の中。かのんは怯えて、ククの腕にしがみつきマス。
恋「うぅ、穴に飲み込まれたと思ったら真っ暗……ここはどこなのですか……?」
可可「レンレン──!」
かのん「…………」
かのん「生きてる?」
可可「はい! なんとか逃げられマシタ!」
かのん「よ、よかったぁ……」
ガサゴソ。
かのん「ひぃ!? な、なにかいる……!」
かのん「真っ暗でなにも見えないよ……クゥクゥちゃあん……!」
可可「ククはここデスよ~」
どうやらククたちは、地面を貫通し、地下まで落ちてきたようデス。
光が途絶えた闇の中。かのんは怯えて、ククの腕にしがみつきマス。
恋「うぅ、穴に飲み込まれたと思ったら真っ暗……ここはどこなのですか……?」
可可「レンレン──!」
647: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:37:35.03 ID:ctpyyijd
恋「クゥクゥさん!? はあ……よかった、無事だったのですね……!」
可可「レンレン~! おけがはないデスか?」
恋「はい、わたくしは大丈夫ですよ」
かのん「……だ、だれ? 何語しゃべってるの……?」
恋「! かのん、さん……!?」
可可「レンレン。かのんは新言語がわからないので、日本語で話してクダサイ」
恋「そうでしたね……こほん」
恋「かのんさん! わたくしです、葉月恋です!」
かのん「……ごめんなさい。私、記憶がなくて……。葉月さんとはどういった関係だったの?」
恋「か、関係……ですか」
恋「んー、わたくしとかのんさんはお友だち……いえ、親友? 流石に僭称かもしれませんね……ここはやはり、仲間と呼ぶのがふさわ──」
千砂都「かのんちゃんっ!!」シュルシュル
かのん「うわあ! また増えたー!?」
恋「ち、千砂都さん!?」
可可「千砂都! 助けていただき、ありがとデス!」
千砂都「もう~! あんまりひやひやさせないでね?」
かのん「人がいっぱい……!」
恋「いったいなにがどうなってるのですか……!?」
可可「各々で察してクダサイ!」
可可「レンレン~! おけがはないデスか?」
恋「はい、わたくしは大丈夫ですよ」
かのん「……だ、だれ? 何語しゃべってるの……?」
恋「! かのん、さん……!?」
可可「レンレン。かのんは新言語がわからないので、日本語で話してクダサイ」
恋「そうでしたね……こほん」
恋「かのんさん! わたくしです、葉月恋です!」
かのん「……ごめんなさい。私、記憶がなくて……。葉月さんとはどういった関係だったの?」
恋「か、関係……ですか」
恋「んー、わたくしとかのんさんはお友だち……いえ、親友? 流石に僭称かもしれませんね……ここはやはり、仲間と呼ぶのがふさわ──」
千砂都「かのんちゃんっ!!」シュルシュル
かのん「うわあ! また増えたー!?」
恋「ち、千砂都さん!?」
可可「千砂都! 助けていただき、ありがとデス!」
千砂都「もう~! あんまりひやひやさせないでね?」
かのん「人がいっぱい……!」
恋「いったいなにがどうなってるのですか……!?」
可可「各々で察してクダサイ!」
648: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:38:33.96 ID:ctpyyijd
☆
かのん「……あなたが、お友だちの恋ちゃん」
恋「はい」
かのん「で、あなたが……幼馴染の、千砂都ちゃん?」
千砂都「違うよ、ちぃちゃん!」
かのん「え……ご、ごめん! ちぃちゃん…………」
千砂都「うん。……うんっ!!」
かのん「私たちは、Liella!っていうアイドルグループの、仲間だったんだね……?」
可可「はいデス!」
恋「正確には、スクールアイドルです」
かのん「スクールアイドル……」
千砂都「……だめそう?」
かのん「うん……。全然思い出せない、ごめん……」
千砂都「いいのいいの! 記憶がなくても、かのんちゃんはかのんちゃんだもん!」
かのん「……ありがとう。そう言ってもらえて、ちょっと楽になれたかも」
かのん「……あなたが、お友だちの恋ちゃん」
恋「はい」
かのん「で、あなたが……幼馴染の、千砂都ちゃん?」
千砂都「違うよ、ちぃちゃん!」
かのん「え……ご、ごめん! ちぃちゃん…………」
千砂都「うん。……うんっ!!」
かのん「私たちは、Liella!っていうアイドルグループの、仲間だったんだね……?」
可可「はいデス!」
恋「正確には、スクールアイドルです」
かのん「スクールアイドル……」
千砂都「……だめそう?」
かのん「うん……。全然思い出せない、ごめん……」
千砂都「いいのいいの! 記憶がなくても、かのんちゃんはかのんちゃんだもん!」
かのん「……ありがとう。そう言ってもらえて、ちょっと楽になれたかも」
649: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:39:08.09 ID:ctpyyijd
かのん「それで……ここどこ?」
千砂都「地下にある、この星の核部分だよ」
恋「なぜそのような場所に……」
千砂都「クゥクゥちゃんの意思が、ここに来たいって言ってたの」
可可「…………」
遠くのほうで、光がいざなっていマス。
可可「あちらに光が見えマス! 行ってみマショウ」
恋「クゥクゥさん、目が見えるんですか……?」
可可「太陽などの強い光であればわかりマスよ」
恋「……? あの、クゥクゥさん……」
可可「どうかしマシタか?」
恋「……光なんて、どこにもありませんよ」
可可「あぇ……。あそこに見えマセンか? 確かな輝きが!」
かのん「ううん、なにも……。クゥクゥちゃんには、なにが見えてるの……?」
どうなってるのデショウか? あれだけ煌々としているのに、見えない……?
目が見える人には見えなくて、目が見えない私には見える……なんだかなぞなぞみたいデス。
千砂都「地下にある、この星の核部分だよ」
恋「なぜそのような場所に……」
千砂都「クゥクゥちゃんの意思が、ここに来たいって言ってたの」
可可「…………」
遠くのほうで、光がいざなっていマス。
可可「あちらに光が見えマス! 行ってみマショウ」
恋「クゥクゥさん、目が見えるんですか……?」
可可「太陽などの強い光であればわかりマスよ」
恋「……? あの、クゥクゥさん……」
可可「どうかしマシタか?」
恋「……光なんて、どこにもありませんよ」
可可「あぇ……。あそこに見えマセンか? 確かな輝きが!」
かのん「ううん、なにも……。クゥクゥちゃんには、なにが見えてるの……?」
どうなってるのデショウか? あれだけ煌々としているのに、見えない……?
目が見える人には見えなくて、目が見えない私には見える……なんだかなぞなぞみたいデス。
650: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:39:54.47 ID:ctpyyijd
可可「…………ほんとに、見えないのデスか?」
かのん「うん」
恋「これだけ暗いのですから、多少の光があれば敏感に気づくはずです」
可可「……………………」
トクン。心臓が強く鳴りマス。
暗澹に沈むククを、照らしてくれた光──。
迷うククを、導いてくれた一番の親友──。
…………グソクムシ、なのデスか……?
…………。
いえ、違いマス。これは……。
根拠もなにもありマセンが、とある直感が心を掻き立てマシタ。
可可「…………………………………………」
可可「…………………………………………」
可可「すみれ?」
かのん「うん」
恋「これだけ暗いのですから、多少の光があれば敏感に気づくはずです」
可可「……………………」
トクン。心臓が強く鳴りマス。
暗澹に沈むククを、照らしてくれた光──。
迷うククを、導いてくれた一番の親友──。
…………グソクムシ、なのデスか……?
…………。
いえ、違いマス。これは……。
根拠もなにもありマセンが、とある直感が心を掻き立てマシタ。
可可「…………………………………………」
可可「…………………………………………」
可可「すみれ?」
651: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:40:53.46 ID:ctpyyijd
一歩、また一歩。
近づくにつれ、その光は大きくなり、強い輝きを放ちマシタ。
そして、手に触れられる距離まで来マシタ。
震える手で、彼女のほおを撫でマス。
「クゥクゥ……」
声はすみれのものデシタ。容姿も、体格も、すべてがすみれデス。でかいの果実も立派に実ってマシタ。
デスが、指に伝わるプラスチックの質感が、現実を突きつけマス。
これはアンドロイド。すみれではありマセン。
「ごめんなさい……」
「私、死んじゃって……。こんな身体になっちゃったわ」
可可「…………」
近づくにつれ、その光は大きくなり、強い輝きを放ちマシタ。
そして、手に触れられる距離まで来マシタ。
震える手で、彼女のほおを撫でマス。
「クゥクゥ……」
声はすみれのものデシタ。容姿も、体格も、すべてがすみれデス。でかいの果実も立派に実ってマシタ。
デスが、指に伝わるプラスチックの質感が、現実を突きつけマス。
これはアンドロイド。すみれではありマセン。
「ごめんなさい……」
「私、死んじゃって……。こんな身体になっちゃったわ」
可可「…………」
652: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:41:48.74 ID:ctpyyijd
「みじめったらみじめよね、私……。こんな姿になってまで……」
「それでも……クゥクゥに、会いたくて…………」
「一度だけでいいから……あんたのかわいい声が聞きたくて…………」
「クゥクゥに謝りたくて…………それで……」
可可「…………」
「……ごめん、こんな再会でがっかりさせちゃったわね…………。もう消えるわ」
「クゥクゥ……元気で──」
ギュー!
「!!」
可可「どこにも、行かせないデス」ギュー
「クゥクゥ…………」
これは、オッカムの剃刀というやつデス。
いろいろ質問していけば、本物のすみれかどうか、判別できるデショウ。
……でも、そんなもの必要ありマセン。
いま感じた、ククの心が、答えデス。
「それでも……クゥクゥに、会いたくて…………」
「一度だけでいいから……あんたのかわいい声が聞きたくて…………」
「クゥクゥに謝りたくて…………それで……」
可可「…………」
「……ごめん、こんな再会でがっかりさせちゃったわね…………。もう消えるわ」
「クゥクゥ……元気で──」
ギュー!
「!!」
可可「どこにも、行かせないデス」ギュー
「クゥクゥ…………」
これは、オッカムの剃刀というやつデス。
いろいろ質問していけば、本物のすみれかどうか、判別できるデショウ。
……でも、そんなもの必要ありマセン。
いま感じた、ククの心が、答えデス。
653: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:43:05.33 ID:ctpyyijd
可可「ああ……あ……」
可可「っ…………すび……え…………」
可可「あああ……ああ…………ああ……!」
可可「すみぃ……ぐすっ……うみえ…………!」
可可「あああああ……ああ、ああああ…………!」
可可「うっ……ああああ……すぅ…………あああ……」
可可「うに! あああああ……!」
抱きしめた、その固くて冷たい無機質な身体。
ククはその身体から、やわらかいぬくもりを感じマシタ。
言葉にならない想いが、抱擁をさらに強くさせマス。
この日のために、備えておいた"会話しゅみれーしょん"。
でも、言葉はなにも出てきませんデシタ。
可可「あああ…………ああ……ああああああああ……!!」
可可「すみれぇ……! すみれ、すみれ、すみれぇぇ…………!!」
すみれ「…………クゥクゥ」
可可「ごべんなざい……! クク……クク……!」
可可「ずっとぉ…………ああ……うぐっ……すなおじゃあ…………なくて……」
可可「すびれ……にぃ…………ぐすっ、ああああ……すみれにぃ……ひどいこと、言って……」
可可「あやまりぃ……たかった……! けど…………すみれ……あああ……会えないから、あやまれ……なくてぇ…………」
可可「ごめんなざい……! すびえぇ……!! ググ、すびれをぉ…………だぐさんきずつけて……!」
可可「ごべんなあい……!! ごえ……あああ! ああああ……ああああああ……! ごべんなざいぃ…………!!」
可可「っ…………すび……え…………」
可可「あああ……ああ…………ああ……!」
可可「すみぃ……ぐすっ……うみえ…………!」
可可「あああああ……ああ、ああああ…………!」
可可「うっ……ああああ……すぅ…………あああ……」
可可「うに! あああああ……!」
抱きしめた、その固くて冷たい無機質な身体。
ククはその身体から、やわらかいぬくもりを感じマシタ。
言葉にならない想いが、抱擁をさらに強くさせマス。
この日のために、備えておいた"会話しゅみれーしょん"。
でも、言葉はなにも出てきませんデシタ。
可可「あああ…………ああ……ああああああああ……!!」
可可「すみれぇ……! すみれ、すみれ、すみれぇぇ…………!!」
すみれ「…………クゥクゥ」
可可「ごべんなざい……! クク……クク……!」
可可「ずっとぉ…………ああ……うぐっ……すなおじゃあ…………なくて……」
可可「すびれ……にぃ…………ぐすっ、ああああ……すみれにぃ……ひどいこと、言って……」
可可「あやまりぃ……たかった……! けど…………すみれ……あああ……会えないから、あやまれ……なくてぇ…………」
可可「ごめんなざい……! すびえぇ……!! ググ、すびれをぉ…………だぐさんきずつけて……!」
可可「ごべんなあい……!! ごえ……あああ! ああああ……ああああああ……! ごべんなざいぃ…………!!」
654: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:44:03.18 ID:ctpyyijd
可可「すみえ……すみれぇ…………」
すみれ「もう…………泣き虫なんだから」
すみれの腕が、ククを包みマシタ。
すみれ「……私こそ、ごめんなさい…………」
すみれ「約束……守れなくて……」
可可「うっ……ぐすっ…………やくそく……?」
『私が絶対に、まもるから……!』
可可「ああ……あの時の……」
すみれ「クゥクゥ…………」
すみれ「もう絶対、放さないから……!」
すみれ「二度と離ればなれになんて、ならないから……!!」
可可「…………はい! ククも絶対、離れマセン!」
すみれ「私は、機械になっちゃったけど……」
すみれ「……クゥクゥ! これからもずっと、私のとなりにいなさいったらいなさいよ……!!」
可可「…………はいデス!」
ああ……やっぱり、グソクムシはすみれデス……!
いつも、ククの心の闇を照らしてくれていた……。
──ククの最光星!
すみれ「もう…………泣き虫なんだから」
すみれの腕が、ククを包みマシタ。
すみれ「……私こそ、ごめんなさい…………」
すみれ「約束……守れなくて……」
可可「うっ……ぐすっ…………やくそく……?」
『私が絶対に、まもるから……!』
可可「ああ……あの時の……」
すみれ「クゥクゥ…………」
すみれ「もう絶対、放さないから……!」
すみれ「二度と離ればなれになんて、ならないから……!!」
可可「…………はい! ククも絶対、離れマセン!」
すみれ「私は、機械になっちゃったけど……」
すみれ「……クゥクゥ! これからもずっと、私のとなりにいなさいったらいなさいよ……!!」
可可「…………はいデス!」
ああ……やっぱり、グソクムシはすみれデス……!
いつも、ククの心の闇を照らしてくれていた……。
──ククの最光星!
655: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:44:50.03 ID:ctpyyijd
☆
ククはひとしきり泣くと、気持ちを切り替え立ち上がりマス!
可可「すみれ! いつまで泣いてるデスか? すみれは泣き虫さんデスねぇ~」
すみれ「!? あんたのほうが泣いてたでしょ! ……というか、私はアンドロイドだから涙出てないわよ!」
可可「あぇ、そうなのデスか? ククの肩にあたたかいしみができてマスが」
すみれ「……きっと気のせいよ」
恋「ううううう……感動しましたぁ……!」
かのん「……あの人も、Liella!の仲間?」
千砂都「うん! Liella!のグラビア担当、平安名すみれちゃん!」
かのん「グラビア……」
すみれ「ギャラ!? 嘘を教えるんじゃないわよ!」
恋「すみれさん……なのですね?」
可可「はい、正真正銘すみれデス! ククが保証しマァス!」
すみれ「……久しぶり。なんか、変な感じね……」
ククはひとしきり泣くと、気持ちを切り替え立ち上がりマス!
可可「すみれ! いつまで泣いてるデスか? すみれは泣き虫さんデスねぇ~」
すみれ「!? あんたのほうが泣いてたでしょ! ……というか、私はアンドロイドだから涙出てないわよ!」
可可「あぇ、そうなのデスか? ククの肩にあたたかいしみができてマスが」
すみれ「……きっと気のせいよ」
恋「ううううう……感動しましたぁ……!」
かのん「……あの人も、Liella!の仲間?」
千砂都「うん! Liella!のグラビア担当、平安名すみれちゃん!」
かのん「グラビア……」
すみれ「ギャラ!? 嘘を教えるんじゃないわよ!」
恋「すみれさん……なのですね?」
可可「はい、正真正銘すみれデス! ククが保証しマァス!」
すみれ「……久しぶり。なんか、変な感じね……」
656: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:45:42.32 ID:ctpyyijd
恋「すみれさんは、どうしてこんな地下に?」
すみれ「あー、それはね」
すみれ「私が憑依してるこのプロトタイプの仕事が、ここを守ることだからよ」
千砂都「"循環器"、だよね」
すみれ「ええ。この人工的に作られた星を維持するための、心臓部よ」
すみれ「……でも、かなりガタがきてるみたい。そう長くは保たないでしょうね」
可可「! それはつまり……」
すみれ「この人工惑星の寿命は、よくて10年ってとこかしら」
恋「!? そ、そんな……」
かのん「この星で、生きられなくなっちゃうってこと……!?」
千砂都「私が何度も見てきたから、間違いないよ」
千砂都が言うならそうなのだと思わさせる、謎の説得力がありマシタ。
それからククたちは、千砂都の力を使って、再び地上へと上昇しマス。
すみれ「あー、それはね」
すみれ「私が憑依してるこのプロトタイプの仕事が、ここを守ることだからよ」
千砂都「"循環器"、だよね」
すみれ「ええ。この人工的に作られた星を維持するための、心臓部よ」
すみれ「……でも、かなりガタがきてるみたい。そう長くは保たないでしょうね」
可可「! それはつまり……」
すみれ「この人工惑星の寿命は、よくて10年ってとこかしら」
恋「!? そ、そんな……」
かのん「この星で、生きられなくなっちゃうってこと……!?」
千砂都「私が何度も見てきたから、間違いないよ」
千砂都が言うならそうなのだと思わさせる、謎の説得力がありマシタ。
それからククたちは、千砂都の力を使って、再び地上へと上昇しマス。
657: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:46:45.21 ID:ctpyyijd
☆
地上に戻ったククたちを待ち受けていたのは、阿鼻叫喚の地獄絵図デシタ。
かのん「な、なにこれ……」
すみれ「戦争でもやってるの!?」
「うっ……」
可可「! うるうるさん!?」
「ああ、どうしてかしら……。こんなはずじゃ、なかったのに……」
恋「……いったい、なにがあったのですか?」
「かのんさんが、飛び降りて……神殺しは、成功……。それですべて、終わるはずだったのに……」
「革命は、標的を失ったまま、いまだ続いているわ……」
「私も……同士の暴走を、止められなかった……。リーダー失格ね…………」
可可「うるうるさん……」
地上に戻ったククたちを待ち受けていたのは、阿鼻叫喚の地獄絵図デシタ。
かのん「な、なにこれ……」
すみれ「戦争でもやってるの!?」
「うっ……」
可可「! うるうるさん!?」
「ああ、どうしてかしら……。こんなはずじゃ、なかったのに……」
恋「……いったい、なにがあったのですか?」
「かのんさんが、飛び降りて……神殺しは、成功……。それですべて、終わるはずだったのに……」
「革命は、標的を失ったまま、いまだ続いているわ……」
「私も……同士の暴走を、止められなかった……。リーダー失格ね…………」
可可「うるうるさん……」
658: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:47:30.69 ID:ctpyyijd
かのん「ど、どうすればいいの!」
かのん「このままじゃ、みんな死んじゃうよ……!」
千砂都「惑星の寿命より先に、住民が全滅なんて笑えないね……」
恋「惑星脱出はいくらでも叶いますが、いまのままでは……」
すみれ「大ピンチったら大ピンチじゃない!?」
可可「…………」
可可「みんな、気づいてマシタか?」
すみれ「……?」
可可「……いま、ここに……5人のLiella!がそろってるんデスよ」
恋「ほ、本当です……! 事態が二転三転して、それどころではありませんでした……」
千砂都「Liella!はそろったけど……どうするの?」
可可「……そんなの、決まってマス!」
可可「──歌いマショウ、この5人で!」
かのん「このままじゃ、みんな死んじゃうよ……!」
千砂都「惑星の寿命より先に、住民が全滅なんて笑えないね……」
恋「惑星脱出はいくらでも叶いますが、いまのままでは……」
すみれ「大ピンチったら大ピンチじゃない!?」
可可「…………」
可可「みんな、気づいてマシタか?」
すみれ「……?」
可可「……いま、ここに……5人のLiella!がそろってるんデスよ」
恋「ほ、本当です……! 事態が二転三転して、それどころではありませんでした……」
千砂都「Liella!はそろったけど……どうするの?」
可可「……そんなの、決まってマス!」
可可「──歌いマショウ、この5人で!」
659: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:48:09.28 ID:ctpyyijd
☆
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン。
5人でいっせいに、階段を駆け上がりマス!
恋「はあ……はあ……なぜ、エレベーター……また止まって……はあ……」
千砂都「かのんちゃんが引きこもってた部屋から、惑星国家全域に、歌を届けるんだね?」
可可「はいデス! 洗脳ソングのために、各地にスピーカーが設置してありマスから! 放送室を使えば効果的に歌を響かせることが可能デス!」
すみれ「それはわかるんだけど……なんで歌なの?」
可可「なにを言ってるデスか! 歌の力は絶大デス!」
可可「ククはいつも、歌によって救われてきマシタ! ミナサンだって、心に残る歌のひとつやふたつ、あるはず!」
可可「音楽を聴けば、きっとこの不毛な争いは終わるはず!」
すみれ「確証はないわけね? ……でも、いいじゃないの、この展開!」
千砂都「歌でみんなを救うんだね!」
かのん「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…………」
恋「か、かのんさん……がんばってください……はあ、はあ……」
かのん「はあ、はあ…………ありがとう……うっ、死ぬ…………」
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン。
5人でいっせいに、階段を駆け上がりマス!
恋「はあ……はあ……なぜ、エレベーター……また止まって……はあ……」
千砂都「かのんちゃんが引きこもってた部屋から、惑星国家全域に、歌を届けるんだね?」
可可「はいデス! 洗脳ソングのために、各地にスピーカーが設置してありマスから! 放送室を使えば効果的に歌を響かせることが可能デス!」
すみれ「それはわかるんだけど……なんで歌なの?」
可可「なにを言ってるデスか! 歌の力は絶大デス!」
可可「ククはいつも、歌によって救われてきマシタ! ミナサンだって、心に残る歌のひとつやふたつ、あるはず!」
可可「音楽を聴けば、きっとこの不毛な争いは終わるはず!」
すみれ「確証はないわけね? ……でも、いいじゃないの、この展開!」
千砂都「歌でみんなを救うんだね!」
かのん「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…………」
恋「か、かのんさん……がんばってください……はあ、はあ……」
かのん「はあ、はあ…………ありがとう……うっ、死ぬ…………」
660: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:49:03.86 ID:ctpyyijd
千砂都「……そういえば、クゥクゥちゃん! 頭……!」
可可「? ククの頭が、どうかしま──」
手に触れたこの感触……!
薄くて平べったい、いくつかの"カンゲキ"を持った円盤がありマス。
なつかしき〈環〉が、くるくると回っていマス……!
可可「あ……あああああ…………!」
可可「見て! ククの頭! 環、環!」
可可「すみれぇ!」
すみれ「はいはい、見てるわよ」
可可「……かわいいデスか?」
すみれ「ええ、かわいいわ」
可可「っ~~~!!」
可可「らん♪ らん♪ らん~♪ 環が、我が頭に~♪」
千砂都「クゥクゥちゃん、うれしそう!」
すみれ「ほんと、子どもねぇ?」
可可「いいんデス! すみれがかわいいと言ってくれマシタから!」
すみれ「っ……!!」
千砂都「……すみれちゃん、照れてる?」
すみれ「!? あ、アンドロイドに感情なんてないったらないから!」
可可「? ククの頭が、どうかしま──」
手に触れたこの感触……!
薄くて平べったい、いくつかの"カンゲキ"を持った円盤がありマス。
なつかしき〈環〉が、くるくると回っていマス……!
可可「あ……あああああ…………!」
可可「見て! ククの頭! 環、環!」
可可「すみれぇ!」
すみれ「はいはい、見てるわよ」
可可「……かわいいデスか?」
すみれ「ええ、かわいいわ」
可可「っ~~~!!」
可可「らん♪ らん♪ らん~♪ 環が、我が頭に~♪」
千砂都「クゥクゥちゃん、うれしそう!」
すみれ「ほんと、子どもねぇ?」
可可「いいんデス! すみれがかわいいと言ってくれマシタから!」
すみれ「っ……!!」
千砂都「……すみれちゃん、照れてる?」
すみれ「!? あ、アンドロイドに感情なんてないったらないから!」
661: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:50:03.47 ID:ctpyyijd
かのん「ぜえ……ぜえ…………待ってよぉ……」
千砂都「かのんちゃん! 運動不足解消のチャンスだよ! さあ、頂上まであと半分!」
恋「かのんさん……ふぁいとぉ……です……」
すみれ「まったく、だらしないわねー」
すみれ「……まあ、私は機械だし、千砂都はなんか超常的ななにかだから、疲れなくて当然なんだけど……」
可可「らんららんららーん♪」
すみれ「クゥクゥのスタミナ、どうなってるのよ……!?」
恋「14年のサバイバルの……たまものですね……」
可可「ふふん! もう"ドリブルのクク"とは言わせマセンよ!」
可可「これからは、"スタミナのクク"デェス!」
すみれ「ほんとにそのあだ名でいいの……?」
かのん「はあ……はあ…………もう限界……」
かのん「脚が──」フラッ
千砂都「かのんちゃん!」
かのん「……ちぃちゃん」
千砂都「わ、私が支えるから……。だから、がんばって!」
かのん「…………」
かのん「うん……!」
千砂都「かのんちゃん! 運動不足解消のチャンスだよ! さあ、頂上まであと半分!」
恋「かのんさん……ふぁいとぉ……です……」
すみれ「まったく、だらしないわねー」
すみれ「……まあ、私は機械だし、千砂都はなんか超常的ななにかだから、疲れなくて当然なんだけど……」
可可「らんららんららーん♪」
すみれ「クゥクゥのスタミナ、どうなってるのよ……!?」
恋「14年のサバイバルの……たまものですね……」
可可「ふふん! もう"ドリブルのクク"とは言わせマセンよ!」
可可「これからは、"スタミナのクク"デェス!」
すみれ「ほんとにそのあだ名でいいの……?」
かのん「はあ……はあ…………もう限界……」
かのん「脚が──」フラッ
千砂都「かのんちゃん!」
かのん「……ちぃちゃん」
千砂都「わ、私が支えるから……。だから、がんばって!」
かのん「…………」
かのん「うん……!」
662: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:11:01.81 ID:ctpyyijd
☆
倒れ込むかのんとレンレンをよそ目に、歌配信の準備を整えマス。
すみれ「……たぶんこれでよさそうね」
千砂都「さ、みんなー! 準備できたよー!」
恋「はあ……はあ……かのんさん、行きましょう」
かのん「…………」
恋「かのんさん……?」
可可「どうかしマシタか?」
かのん「……ご、ごめんね……私……」
かのん「下で起きてる、戦争を止めなきゃなのに……歌える自信がなくて……」
千砂都「かのんちゃん……」
すみれ「あんた、ずっと洗脳ソング歌ってたんでしょ? だったら喉も衰えてないはずよ」
かのん「違うの……!」
かのん「私……みんなのこと、やっぱり覚えてなくて……。そんな私が、Liella!を名乗って、いっしょに歌っていいのかなって……」
可可「…………」
倒れ込むかのんとレンレンをよそ目に、歌配信の準備を整えマス。
すみれ「……たぶんこれでよさそうね」
千砂都「さ、みんなー! 準備できたよー!」
恋「はあ……はあ……かのんさん、行きましょう」
かのん「…………」
恋「かのんさん……?」
可可「どうかしマシタか?」
かのん「……ご、ごめんね……私……」
かのん「下で起きてる、戦争を止めなきゃなのに……歌える自信がなくて……」
千砂都「かのんちゃん……」
すみれ「あんた、ずっと洗脳ソング歌ってたんでしょ? だったら喉も衰えてないはずよ」
かのん「違うの……!」
かのん「私……みんなのこと、やっぱり覚えてなくて……。そんな私が、Liella!を名乗って、いっしょに歌っていいのかなって……」
可可「…………」
663: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:12:13.84 ID:ctpyyijd
可可「ククは、かのんが好きデス!」
かのん「!!」
可可「かのんといっしょに歌いたいデス!」
可可「もうこの際、Liella!とかスクールアイドルとか、忘れてしまいマショウ!」
可可「ひとりの人間、澁谷かのんとして……歌ってくれマセンか?」
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「響かせマショウ! この惑星中に、かのんのスバラシイ歌声を!」
かのん「…………」
かのん「ちぃちゃん」
かのん「すみれちゃん」
かのん「恋ちゃん」
かのん「……そして、クゥクゥちゃん」
かのん「みんなが並んでる、この景色……」
かのん「覚えてないのに……なんだか、よく知ってるような気がする」
かのん「私は……たぶん、いつも、この輪の中にいたんだろうなぁ……」
かのん「毎日、楽しかったのかな……? きっとそうなんだろうなぁ~……」
かのん「うらやましいなぁ……記憶があったころの私」
かのん「!!」
可可「かのんといっしょに歌いたいデス!」
可可「もうこの際、Liella!とかスクールアイドルとか、忘れてしまいマショウ!」
可可「ひとりの人間、澁谷かのんとして……歌ってくれマセンか?」
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「響かせマショウ! この惑星中に、かのんのスバラシイ歌声を!」
かのん「…………」
かのん「ちぃちゃん」
かのん「すみれちゃん」
かのん「恋ちゃん」
かのん「……そして、クゥクゥちゃん」
かのん「みんなが並んでる、この景色……」
かのん「覚えてないのに……なんだか、よく知ってるような気がする」
かのん「私は……たぶん、いつも、この輪の中にいたんだろうなぁ……」
かのん「毎日、楽しかったのかな……? きっとそうなんだろうなぁ~……」
かのん「うらやましいなぁ……記憶があったころの私」
664: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:12:54.31 ID:ctpyyijd
かのん「…………私はずっとここで、ひとりで歌ってきた……。自分のために……」
かのん「でも、いま! 私のためだけじゃなくて……みんなのために歌いたいって思えた!」
かのん「みんなと、いっしょに!」
可可「かのん……!」
かのん「かつての私がいた場所に、いまの欠けてる私が入るのは、すごく勇気がいるし……本当は怖いけど……」
かのん「でも、なんでだろう……。みんなといると、安心する……」
千砂都「かのんちゃん!」
すみれ「かのん!」
恋「かのんさん!」
かのん「……そっか。私はもう、ひとりじゃないんだ……!」
かのん「──歌える、みんながいるから!」
かのん「でも、いま! 私のためだけじゃなくて……みんなのために歌いたいって思えた!」
かのん「みんなと、いっしょに!」
可可「かのん……!」
かのん「かつての私がいた場所に、いまの欠けてる私が入るのは、すごく勇気がいるし……本当は怖いけど……」
かのん「でも、なんでだろう……。みんなといると、安心する……」
千砂都「かのんちゃん!」
すみれ「かのん!」
恋「かのんさん!」
かのん「……そっか。私はもう、ひとりじゃないんだ……!」
かのん「──歌える、みんながいるから!」
665: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:14:08.77 ID:ctpyyijd
千砂都「それじゃ、久しぶりにいつものやつ……やってみよう!」
恋「き、緊張しますね……」
すみれ「ほーら、手出して」
可可「…………本当に、5人そろったんデスね」
すみれ「なにたそがれてるのよ。ここからが本番でしょ♪」
可可「……はい!」
さあ、変えてやりマショウ!
かのん「…………それじゃ、いくよ!」
歌の力を信じて──!
かのん「Song for me! Song for you!」
5人「Song for All!!!!!」
第8章 冥王星的迷走 終
恋「き、緊張しますね……」
すみれ「ほーら、手出して」
可可「…………本当に、5人そろったんデスね」
すみれ「なにたそがれてるのよ。ここからが本番でしょ♪」
可可「……はい!」
さあ、変えてやりマショウ!
かのん「…………それじゃ、いくよ!」
歌の力を信じて──!
かのん「Song for me! Song for you!」
5人「Song for All!!!!!」
第8章 冥王星的迷走 終
666: 名無しで叶える物語(こんにゃく) 2022/12/29(木) 08:23:19.98 ID:JMTH8ABh
すみれええええ泣いた
かのんを歌わせるやりとりもすごく良い
かのんを歌わせるやりとりもすごく良い
667: 名無しで叶える物語(しまむら) 2022/12/29(木) 09:57:24.45 ID:td3rVxFF
スタミナのククで草
669: 名無しで叶える物語(SIM) 2022/12/29(木) 19:02:24.60 ID:PN2xdYq+
マジで面白いな
SF全然詳しくないからググりながら読んでる
SF全然詳しくないからググりながら読んでる
引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1669893803/
第9章(終章)へ続く

いよいよ、クライマックス・・・!


コメント
コメント一覧 (1)
果たしてLiella!の運命は・・・?次回、最終回、乞うご期待!
anison_aqours
が
しました
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