すみれ「……って、めちゃくちゃ注目されてるわよ私達！今日部活は休みだし……よし、取り敢えず部室に移動しましょ、早く来て！」ｸﾞｲｯ

恋「わっ！？ひ、引っ張らないで下さい！」

―――
　
すみれ「……疲れたあぁ……」ｸﾞﾃﾞｯ

恋「音楽科の教室と部室では結構距離がありますからね……」

恋「……それで、一体どういうつもりなのです？」

すみれ「うっさいわね……、……少し相談があるのよ」

恋「相談？」

すみれ「その……恋愛相談ってやつなんだけど……」

恋「えっっ！？すみれさん、すすすすすす好きな人が居るのですか！？！？」

すみれ「ちょっとうるさいわよ！！かのん達が来たらどうするの！？」

恋「かのんさん！？　かのんさんなのですね！？」

すみれ「何で限定するのよ！？　違うったら違うわよ！　言葉の綾よ！」

恋「綾さんとはどなたですか！？　すみれさんのクラスメイトですか！？」

すみれ「落ち着きなさいよ！」

すみれ「……まあ、さっきも言ったように、好きな人……が居るのだけれど……嫌われているというか……私にだけ当たりが強くて……」

恋「……ふむ、それが心配で私に？」

すみれ「そ、そんな感じ……」

恋「それで、好きな人とはどなたですか？」

すみれ「は？」

すみれ「…………まーあぁ……そうね……Liella!の、メンバーよね……」

恋「！？やはりかのんさん！？」

すみれ「だから違うってば！？さっき言ったわよね！？」

恋「……そ、それなら……千砂都さん？」

すみれ「それも違うったら違うのよ！ふざけてるの！？」

恋「ふざけてなどありません……！私は真面目に考えているのです！――ハッ！もしや……私ですか！？」

すみれ「んなわけないでしょ！確かによくあるけど！好きな人に敢えて好きな人が居るって相談して色々聞き出すやつ！でも違うから！」

恋「それでは一体誰なのです……？」

すみれ「あんた本当ふざけてんでしょ」

恋「…………可可さん、ですね」

すみれ「……そうよ」

恋「それで、相談と言うのはどういう？」

すみれ「あー……実はその……私、追々告白する予定ではいるのだけれど……その前に好感度を上げたいというか、言ってしまえば必ず成功出来るくらいには……」

恋「ふむ……つまり好感度アップ方法を教えてくれと？」

すみれ「そういう事。何かある？」

恋「そうですね……」ｳｰﾝ

すみれ「別に無理して考える必要は無いのよ。ただ思ったことを正直に言うだけなんだから」

恋「思ったことを正直に……それでは、待つ、と言うのはどうでしょうか」

すみれ「待つ？」

恋「はい。可可さんはすみれさんに一日に何度もちょっかいを掛けていますし、それに応えることで普段は喧嘩のような……いえ、痴話喧嘩のようなものが始まっています」

すみれ「は？」

恋「しかし、すみれさんが乗って来なければ本調子では無いすみれさんを心配して、可可さんの素直な気持ちが聞けるかもしれません」

すみれ「な、成程……何か納得しちゃった……」

恋「どうでしょうか……？」

すみれ「いいわ！いいったらいいわ！」ﾊﾟｱｧｯ

すみれ「早速明日から試してみることにするわね、それじゃまた明日っ」ﾀｯﾀｯ ﾊﾟﾀﾝ

恋「行ってしまいました……」

恋「（まさかすみれさんが可可さんのことを好きだなんて……驚きましたね……）」

恋「（……でも、私に一番に相談してくれたのが、嬉しいです）」

恋「（相談してくれたすみれさんの為にも、私が沢山アドバイスを出しましょう！）」ｴｯﾍﾝ

―
――
―――


かのん「恋ちゃん、この後良いかな？」

恋「残って練習ですか？」

かのん「ううん、……あの、相談、したくて……」

恋「相談……、分かりました。私の家に来ますか？」

かのん「うんっ、それじゃあお願いしようかな」

―――

かのん「……実はその、好きな人が居るんだよね……」

恋「かのんさんもですか！？」

かのん「"も"！？"も"って何！？」

恋「いえ、すみれさんが……」

かのん「言っちゃダメだよそれ！いや分かんないけど絶対言っちゃダメなやつだって！！」

恋「そうなのですか？すみれさんが可可さんのことを好きなのは皆さん知っていると思――っむぐ」

かのん「だからダメなものはダメなのーーッ！！」

恋「むご、むごご……」

かのん「はぁ……もう、変なこと言わないで。今はすみれちゃんじゃなくて、相談してる私だけのことを考えて！」

かのん「……それで、好きな人って言うのは……ちぃちゃん……なんだけど……」

恋「千砂都さん？　お二人は幼馴染ですからとても仲が良いと私も……」

かのん「ううん、そうじゃなくて。……恋愛対象として、ちぃちゃんが好きなんだ。一緒に居たらドキドキするし……顔だって熱くなっちゃうし……」

恋「（かのんさん、顔赤いです……）」ﾊｯ

恋「（そういえば、可可さんの話をしているすみれさんもこんな風に……）」

かのん「こんなことがバレて、ちぃちゃんには嫌われたくない。でも……私はいずれ告白だってしたいと思ってる。……だから……」

恋「……だから？」

かのん「助けてよ恋ちゃあﾞあﾞあﾞんﾞっ！私一人で考えるなんて無理だよおﾞおﾞおﾞおﾞおﾞっ！」

恋「えええっ！？」

かのん「お願いお願いっ！恋ちゃんしか居ないの！」

恋「何故私にそこまで！？」

かのん「……ええっと、ほら……恋ちゃん、名前に恋って入ってるし……恋愛経験とかありそうだなーって……」

恋「無いですっ！というかそんな考えで人を頼らないで下さい！何だか悲しいです！」

かのん「うぅ……と、兎に角、本当に真面目に協力して欲しいの。……ダメ、かなぁ？」ｳﾙｳﾙ

恋「うっ……」

恋「……そうですね……私が思うには、やはり千砂都さんからのアピールを待つべきではないでしょうか」

かのん「アピールを待つ？」

恋「はい。千砂都さんはああ見えて恥ずかしがり屋さんだと思うのですが……かのんさんに対してはグイグイ行くタイプと言いますか……、そんな感じで……」

かのん「ふむふむ……それじゃあ、私からは、ちぃちゃんに話し掛けずにして……ちぃちゃんから話し掛けてくれるのを待てばいいってことだよね」

恋「はい、どうですか？」

かのん「……うんっ、良いと思う！恋ちゃんが言った通りにしてみるよ」

恋「（なんと、かのんさんからも頼られてしまいました）」

恋「（嬉しいです……嬉し過ぎます……）」

恋「（人の役に立つって、こういうことなんでしょうね……）」

―
――
―――

千砂都「れーんちゃん！」ﾄﾝｯ

恋「わっ！？ち、千砂都さん！？」ﾋﾞｸｯ

千砂都「うぃーっす！可愛い後ろ姿を見つけたからつい声掛けちゃった！」

恋「千砂都さんは…この後体育ですか？」

千砂都「えっと、うんっ…！恋ちゃんは？」

恋「私はこの後教室で自習です」

千砂都「自習かぁ……」

千砂都「ね、二人で授業サボっちゃわない？」

恋「サボ……っ！？」

千砂都「恋ちゃんにしか話せないことがあるんだ、だめかなぁ……？」ｺﾃﾘ

恋「うっ……怒られたら千砂都さんのせいですからね……？」

―――

恋「それで、授業を抜け出してまで話したいこととは何ですか？」

千砂都「えへへ、実はその……」ﾃﾚﾃﾚ

恋「……もしや、恋愛相談ですか！？」

千砂都「おっ、せーかいっ！よく分かったね？そんなに顔に出てたかな？」ｺﾃﾘ

恋「顔にも出ていましたし……何となくそんな予感がしていたところです」

千砂都「バレちゃったかぁ。……なんか照れくさいな……」

恋「いえ、気にしないでください」

千砂都「えへへ、ありがと。」

千砂都「あのね、私……かのんちゃんのこと、好きなんだ」

恋「！」

恋「（お二人は両思い！良かった、良かったです！）」ﾊﾟｱｧｯ

恋「物凄くお似合いだと思います！！！」ｸﾞｲｯ

千砂都「わっ、ち、近いね……！？」

恋「千砂都さんっ、私、千砂都さんを応援します……！」ｳﾙｳﾙ

千砂都「な、何を感動してるのかわかんないけど……ありがとう……？」

千砂都「それでね？どうしたらかのんちゃんにもっと好きになって貰えるのかなぁって考えてて……」

恋「（私はもう二人も恋愛相談に乗っているのです！ここで千砂都さんに何を言えばいいのかなんて分かっています！）」

恋「かのんさんからのアピールを待ちましょう！」ﾄﾞｰﾝ

―
――
―――

恋「（すみれさんから続いてかのんさんと千砂都さんの相談を聞いて数日経ちましたが……）」

かのん「……」ﾁﾗｯ

千砂都「……」ﾁﾗｯ

恋「（なんだか、お二人がよそよそしくなった気がします……）」

恋「（それに比べてすみれさんは……）」

可可「聞いてるのデスか！？グソクムシ！！」

すみれ「…………」ガン無視

可可「あぇ…？…ぇ…？？」ｵﾛｵﾛ

恋「（可可さんが心配してます！待つと言っても無視は良くないのでは！？）」

恋「（空気が……重たいです……）」

―――

すみれ「それじゃ、練習も終わったところだし私は帰るわね」

可可「ぁえ……すみれっ、」

ﾊﾟﾀﾝｯ

可可「うぅ……」ｼｮﾝﾎﾞﾘ

恋「（何やっているのですかすみれさあああああんっ！！！）」

恋「（アピール待ち下手くそですか！いくら何でもこれは！見ている方が辛いです！！！）」

千砂都「私もバイトあるし帰るね〜」

かのん「……私も帰ろっと」

恋「く、可可さん……！私と帰りましょう」

可可「うぅ〜っ……レンレン〜……」ｽﾞﾋﾞｽﾞﾋﾞ

恋「可可さん！泣かないでください！」

可可「……クゥクゥ、…すみれに嫌われちゃいマシタか……？」ｳﾙｯ

恋「！」ｷｭﾝ

恋「（いけません……！こんな弱々しい可可さんを可愛いと思ってしまうなんて最低です！！）」ﾊｯ

恋「そんなこと言わないでください！すみれさんは可可さんのこと……！」

可可「……？」

恋「（って私が言ってしまったら意味が無いじゃないですかあああああああっ！！）」

可可「…ぐすっ……クゥクゥ、本当はすみれのこと、大好きなんデス……」

可可「……でも、すみれの前では何故か素直になれなくて……いつも余計なことばかり言ってしまって……」

可可「だから、クゥクゥ、嫌われてしまいマシタ……」ｼﾞﾜｯ

恋「……可可さん……」

恋「……可可さん、私に、ひとつ提案があるのですが……」

可可「てい、あん……？」ｷｮﾄﾝ

恋「はい、それは――――」

―
――
―――

かのん「……」ﾁﾗｯ

千砂都「……」ﾁﾗｯ

恋「…………」

すみれ「……」ﾁﾗｯ

可可「……」ﾁﾗｯ

恋「…………」

恋「（……マズイです、これ私の所為ですよね……）」

恋「（可可さんに提案をした日、私は家に帰って皆さんから恋愛相談をされたこと、同じことを提案してしまったことをサヤさんに打ち明けました）」

恋「（するとサヤさんは今まで見た事がないような形相で、「いくら何でもそれは無いです！」と怒りました）」

恋「（最初はサヤさんが何に怒っているのか、分かりませんでしたが……）」

恋「（今の私には分かります……）」

恋「（お互いがアピールを待つことになってしまうと）」

かのちぃ「「………………」」

くぅすみ「「………………」」

恋「（話さなくなってしまうのです！）」ﾄﾞｰﾝ

かのん「……」ﾁﾗﾘ

恋「！」ﾋﾞｸｯ

恋「（かのんさんが助けを求めてきています！ち、千砂都さんは……）」

千砂都「……」ｼﾞｰｯ

恋「（かのんさんのことをじっと見つめて！！）」

可可「…………」ｸｲｸｲｯ

恋「（可可さんがさりげなく私の袖を引っ張って！…可可さん助けを求めているのですね……！）」

恋「（すみれさん……！）」ﾁﾗｯ

すみれ「……」ｼﾞｰｯ

恋「（凄い圧！！違うんです！私と可可さんはそういう関係では……！！）」

千砂都「恋ちゃん、この後時間あるかな？」ｶﾞﾀｯ

恋「（千砂都さんが動いた！）」

すみれ「ダメよ、恋はこの後私と予定があるんだから」ｶﾞﾀｯ

かのん「すみれちゃん嘘つかないで。私が恋ちゃんと話すの」ｶﾞﾀｯ

可可「ちっ……違いマス！可可が……！」ｶﾞﾀｯ

恋「ぁ……えと……えっとぉ……」ｱﾜｱﾜ

かのちぃ「「………………」」ｼﾞｰｯ

くぅすみ「「………………」」ｼﾞｰｯ

恋「……そっ、そのぉ……！」

かのん「恋ちゃん！」

千砂都「れんちゃん！」

すみれ「恋！」

可可「レンレン！」

恋「…………です……」ﾎﾞｿ

かのちぃくぅすみ「「「「……え？」」」」

恋「私に恋愛相談相談など無理だったのです！」ﾊﾞｰﾝｯ

かのちぃくぅすみ「「「「……はぁ！？」」」」ﾊﾞｰﾝｯ

恋「最初は良かれと思ってすみれさんにアピールを待った方がいい、と言いました！」

恋「でも、でもっ！」

恋「私はアピールを待つことが恋愛相談において最も良い答えだと思い込んでいまして！」

恋「かのんさんにも、千砂都さんにも、可可さんにもアピールを待てと言ってしまい……今のような状況になってしまいました……」

恋「私は人の相談に乗ることすら出来ない役立たずですううぅっ！！」ｴｰﾝ ｴｰﾝ

すみれ「お、落ち着きなさい！状況は分かったから！」

かのん「そ、そういうことだったんだぁ……」ﾁﾗｯ

千砂都「道理で最近目が合わないわけだ……」ﾁﾗｯ

かのちぃ「「！！」」ﾊﾞｯﾁｰﾝｯ

かのちぃ「「…………」」ｿｰｯ

かのん「……ごめんね、冷たくしてたよね」

千砂都「ううんっ、私の方こそ気が付かなくてごめんね」

可可「ど、どういうことデスか……？」

可可「可可は、すみれに嫌われて…………」

すみれ「そんな訳ないでしょ」

可可「……へ？」

すみれ「……誤解させちゃったのはごめんなさい」

すみれ「……恋に相談していたのは可可の事なの。……私も、可可に嫌われてるんじゃないかって思って…相談したの」

すみれ「可可からのアプローチを待てば、素直な気持ちが聞けると思って……」

すみれ「でも違った。……可可を悲しませてしまうことになっちゃったわね」

すみれ「私は、可可のこと、大好きよ」

可可「！……しゅ、しゅみれぇ……」ｳﾙｳﾙ

恋「（……あれ？）」

恋「（もしかして、上手く行ってます……？）」

恋「（あっちも……）」ﾁﾗｯ

千砂都「えへへ、かのんちゃんだーいすきっ♡」

かのん「は、恥ずかしいよぉ……」

恋「（こっちも……）」ﾁﾗｯ

可可「すみれ！すみれぇ！」ｷﾞｭｰｯ

すみれ「わっ！？く、苦しいわよ！」

恋「（…………やりました…………）」

恋「（私、やりました！！）」ｶﾞｯﾂﾎﾟｰｽﾞ

恋「（私の適切なアドバイスのお陰でかのんさんと千砂都さん、すみれさんと可可さんがくっ付きました！！）」

恋「（嬉しい！嬉し過ぎます！この名前を授かって早16年……！）」

恋「（お母様、私、遂に恋のキューピットになりました！）」

恋「ふふ、ふふふふふ……」

―
――
―――

〜数ヶ月後〜

きな子「ひゃ〜っ、遂に九人になったっすね〜！」

メイ「Liella!も私らが入ってレベルアップしたと思って貰えるようにしなきゃだな！」ｸﾞｯ

四季「その通り、頑張る」ｸﾞｯ

夏美「でも……まだまだ分からないことばかりで不安ですのね……」

かのん「大丈夫っ、頼れる先輩が五人も居るんだから私達に任せてよ」

千砂都「うんうんっ、ダンスの事とか、歌のこととか……」ﾁﾗｯ

恋「？」

千砂都「恋愛相談、とかね」

きな子「恋愛相談？」

すみれ「ふふっ、うちのグループには恋のキューピットが居るのだから、その子に相談しとけば何とかなるわよ！」

可可「その通りデス！ねっ、レンレン！」

メイ「えっ！恋先輩が！？」

四季「流石名前に恋と入ってるだけある……」

夏美「そんなこと有り得るんですの……？」

恋「任せてください！」ﾌﾝｽｯ

恋「私に掛かれば、恋愛相談なんてちょちょいのちょいです！」ｸﾞｯ

きな子「す、凄いっす恋先輩〜っ！！！」

しきメイなつ「「「……」」」

メイ「（……あの言い方だと、先輩達…恋先輩に相談したのか……。キューピットって言ってるってことは……くっついてる！？しゅ、しゅごい！！聞きたい！！！！）」

四季「（メイを振り向かせるため……恋先輩を頼るしか……）」

夏美「（恋先輩の「葉月お悩み相談事務所企画」を開いて視聴者のお悩みを解決すれば……、ふっふっふ……マニーですの……マニーの匂いがしますの！！）」

恋「もっともっと、一年生の皆さんにも頼っていただけるように、葉月恋、務めていきます！」ｴｯﾍﾝ

お　し　ま　い

これはUR葉月恋

かわいいなぁ

恋ちゃんが幸せそうでよかった

うろたえる可可ってなんでこんなに可愛いんだろうか　乙