卒業式後 校門前
冬毬「……かのん先輩!」
かのん「ん?」
冬毬「あの……」
かのん(あれ、これってまさか制服の第二ボタン下さい的なやつ?)
かのん(冬毬ちゃんが? かわいいところあるなあ)
かのん(でもうちの制服ブレザーだし、第二ボタンって感じじゃないよね)
かのん(じゃあ、もしかしてリボンとか? 照れるな~もう)
冬毬「スカート……」
かのん「へ?」
冬毬「スカート、下さい!」
冬毬「……かのん先輩!」
かのん「ん?」
冬毬「あの……」
かのん(あれ、これってまさか制服の第二ボタン下さい的なやつ?)
かのん(冬毬ちゃんが? かわいいところあるなあ)
かのん(でもうちの制服ブレザーだし、第二ボタンって感じじゃないよね)
かのん(じゃあ、もしかしてリボンとか? 照れるな~もう)
冬毬「スカート……」
かのん「へ?」
冬毬「スカート、下さい!」
2: 名無しで叶える物語◆b3YPxBMJ★ 2025/01/04(土) 13:48:21 ID:???00
かのん「え、ボタンとかリボンとかじゃなくてスカート? 今はいてるやつ? うちの制服って上下一体型だけど、これ全部ってこと!?」
冬毬「はい」
かのん「そっかそっか、いやー中にスパッツはいててよかったー……、って、何で!? それじゃ私変態だよ!」
冬毬「どうせなら、一番面積の大きいものを頂くのがいいかと」
かのん「それならブレザーでよくない!?」
冬毬「見たところブレザーはサイズが合いません」
かのん「……それ、本気で言ってるの?」
千砂都「まあまあ、よかったじゃん。慕ってくれる後輩がいてさ」
かのん「だって、ジャージも練習着ももう持って帰ってるし……」
冬毬「……ずっと、憧れてました。スクールアイドルを始めたときから」
かのん「無理やり押し切ろうとしてない!?」
すみれ「まあ、ブレザーを腰にまけばなんとかなるでしょ」
かのん「そんなの、あんまりなんじゃない!?」
冬毬「はい」
かのん「そっかそっか、いやー中にスパッツはいててよかったー……、って、何で!? それじゃ私変態だよ!」
冬毬「どうせなら、一番面積の大きいものを頂くのがいいかと」
かのん「それならブレザーでよくない!?」
冬毬「見たところブレザーはサイズが合いません」
かのん「……それ、本気で言ってるの?」
千砂都「まあまあ、よかったじゃん。慕ってくれる後輩がいてさ」
かのん「だって、ジャージも練習着ももう持って帰ってるし……」
冬毬「……ずっと、憧れてました。スクールアイドルを始めたときから」
かのん「無理やり押し切ろうとしてない!?」
すみれ「まあ、ブレザーを腰にまけばなんとかなるでしょ」
かのん「そんなの、あんまりなんじゃない!?」
3: 名無しで叶える物語◆b3YPxBMJ★ 2025/01/04(土) 13:52:13 ID:???00
かのん「とほほ、結局上ブラウス下ブレザーの変態スタイルで帰ることになっちゃった……」
マルガレーテ「ほら、気にしすぎるとかえって目立つわよ」
かのん「だって~。気にするなってのは無理だよ~」
マルガレーテ「全く、日本には恥はかきすてっていう言葉があるんでしょ?」
かのん「旅の恥は、ね! ここ超地元だから! これからもしょっちゅう帰省するから!」
マルガレーテ「人通り少ない道を選んだとはいえ、あまり大きい声を出すと注目されるわよ」
かのん「っ!」
マルガレーテ「そんなに気になるなら、その辺の店で何か買ったら?」
かのん「この格好で原宿のお店に入れって? 無理に決まってるよ~。それに、引っ越すんだから物増やすなって言われてるし……」
マルガレーテ「なら、人気がなくなるまでどこかに隠れていたら?」
かのん「このあと一、二年生に向けてライブするっていったじゃん! ビルの屋上借りるのにいくらかかったと思ってるの?」
マルガレーテ「なら、諦めるしかないわね。まあ、周りの人はそんなに気にしてないわよ」
かのん「……じゃあ、マルガレーテちゃんが代わって。私がマルガレーテちゃんのスカートはくから」
マルガレーテ「わ、私はこれからスイーツ食べに行こうと思ってたから。それじゃあ、またあとでね。……ササッ」
かのん「え、ちょっと待って! ……逃げたな。ええと、じゃあ、ここからは一人で帰るってこと!?」
マルガレーテ「ほら、気にしすぎるとかえって目立つわよ」
かのん「だって~。気にするなってのは無理だよ~」
マルガレーテ「全く、日本には恥はかきすてっていう言葉があるんでしょ?」
かのん「旅の恥は、ね! ここ超地元だから! これからもしょっちゅう帰省するから!」
マルガレーテ「人通り少ない道を選んだとはいえ、あまり大きい声を出すと注目されるわよ」
かのん「っ!」
マルガレーテ「そんなに気になるなら、その辺の店で何か買ったら?」
かのん「この格好で原宿のお店に入れって? 無理に決まってるよ~。それに、引っ越すんだから物増やすなって言われてるし……」
マルガレーテ「なら、人気がなくなるまでどこかに隠れていたら?」
かのん「このあと一、二年生に向けてライブするっていったじゃん! ビルの屋上借りるのにいくらかかったと思ってるの?」
マルガレーテ「なら、諦めるしかないわね。まあ、周りの人はそんなに気にしてないわよ」
かのん「……じゃあ、マルガレーテちゃんが代わって。私がマルガレーテちゃんのスカートはくから」
マルガレーテ「わ、私はこれからスイーツ食べに行こうと思ってたから。それじゃあ、またあとでね。……ササッ」
かのん「え、ちょっと待って! ……逃げたな。ええと、じゃあ、ここからは一人で帰るってこと!?」
4: 名無しで叶える物語◆b3YPxBMJ★ 2025/01/04(土) 13:53:47 ID:???00
かのん「裏道、裏道っと」
猫「にゃあ」
かのん「ひっ! いや、これは違うんです、……あ、なんだキミか」
かのん「久しぶり。もしかして、お別れを言いにきてくれたのかな」
かのん「今日卒業式だったんだ。この制服ともお別れ、ってこの格好とは一刻も早くお別れしたいけど」
かのん「言っておくけど、やりたくてこんな格好しているわけじゃないからね」
かのん「勘違いしないでよ? 聞いてる?」
猫「にゃあ!」
かのん「わあ、急に飛びつかないでよ。あれ、それ、咥えてるの、私のブレザーじゃない?」
猫「にゃーん!」
かのん「待って、お願い待って! 行かないで! 返してー!」
かのん「……見失った。……終わった」
猫「にゃあ」
かのん「ひっ! いや、これは違うんです、……あ、なんだキミか」
かのん「久しぶり。もしかして、お別れを言いにきてくれたのかな」
かのん「今日卒業式だったんだ。この制服ともお別れ、ってこの格好とは一刻も早くお別れしたいけど」
かのん「言っておくけど、やりたくてこんな格好しているわけじゃないからね」
かのん「勘違いしないでよ? 聞いてる?」
猫「にゃあ!」
かのん「わあ、急に飛びつかないでよ。あれ、それ、咥えてるの、私のブレザーじゃない?」
猫「にゃーん!」
かのん「待って、お願い待って! 行かないで! 返してー!」
かのん「……見失った。……終わった」
5: 名無しで叶える物語◆b3YPxBMJ★ 2025/01/04(土) 14:01:57 ID:???00
かのん(スカートだけでじゃなく、ブレザーも失った今、鞄を使ってなんとか隠せるのは前後どちらかだけ)
かのん(いっそブラウスを腰に巻く? いやいや、それだと遠くから見ても明らかに変態だ。ブラウスは普通に着た方が下も少し隠れるからまだましだよ)
かのん(仕方がない、基本的には後ろを隠しながら、前に人が来たら壁を背にして前を隠す。これでいこう)
かのん(うん、意外にいける気がしてきたぞ。……あ、あれは)
ココノ「それじゃあ、私はここで。ナナミ、ヤエ、二人と一緒にいられて、よかった」
ナナミ「うん、この3年間、忘れないよ」
ヤエ「絶対、忘れない!」
かのん(無理無理無理無理! めちゃくちゃいいシーンだって)
かのん(感動的な別れのシーンに現れる変態クラスメート、これじゃあヒーローはヒーローでも変態なやつだよ)
かのん(見つかったら終わりだ。遠回り、なんとか遠回りを……)
かのん(いっそブラウスを腰に巻く? いやいや、それだと遠くから見ても明らかに変態だ。ブラウスは普通に着た方が下も少し隠れるからまだましだよ)
かのん(仕方がない、基本的には後ろを隠しながら、前に人が来たら壁を背にして前を隠す。これでいこう)
かのん(うん、意外にいける気がしてきたぞ。……あ、あれは)
ココノ「それじゃあ、私はここで。ナナミ、ヤエ、二人と一緒にいられて、よかった」
ナナミ「うん、この3年間、忘れないよ」
ヤエ「絶対、忘れない!」
かのん(無理無理無理無理! めちゃくちゃいいシーンだって)
かのん(感動的な別れのシーンに現れる変態クラスメート、これじゃあヒーローはヒーローでも変態なやつだよ)
かのん(見つかったら終わりだ。遠回り、なんとか遠回りを……)
7: 名無しで叶える物語◆b3YPxBMJ★ 2025/01/04(土) 14:07:23 ID:???00
かのん(やった。ついに! 帰ってきた!)
かのん「あとは、人がいない隙にあのドアさえくぐれば……!」
スマホ「~♪」
かのん「わ、わ! マナーモードにしとけばよかった。いったい誰から、……悠奈さん?」
かのん「は、はい」
悠奈「パァ! 卒業おめでとう!」
摩央「おめでとう。3年間、あっという間ね。最初にフェスで見たときが懐かしいわ」
かのん(やばいやばい、ビデオ通話だ。でも、お祝いしてくれてるのにカメラオフにするのも失礼だし~)
かのん「ありがとうございます。サニパのお二人は……、あ、またサニパって言っちゃいました」
悠奈「いいよいいよ。スクールアイドルじゃなくなったけど、心は生涯サニパだと思ってるからね」
摩央「あなたもこれからLiella!の澁谷かのんって飽きるほど言われると思うけど、あまり気にしない方がいいわ」
摩央「……ところで、どうして顔の上半分しか映っていないの?」
かのん「え、そ、そうですか? いつもこれくらいだと思いますけど?」
かのん(さすがに不自然すぎた~。じゃあ、ぎりぎり肩くらいまでならセーフかな?)
悠奈「あ、映った映った。……あれ、まだ結構寒いのにブラウス一枚?」
かのん「いやいや、もうこっちも結構暑くって!」
悠奈「それに結ヶ丘って夏服でも肩まで制服なかったっけ」
かのん「いえ、それは……、あの、一回帰って着替えたんです!」
悠奈「でもリボン……」
かのん「え、ああー、リボン外すの、ワ、ワスレテター! お、教えてくれてアリガトウゴザイマス!」
悠奈「ふーん?」
摩央「まあ、とにかく、忙しい日にごめんなさいね。悠奈が直接お祝いを伝えたほうがいいと言うから」
かのん「はい、いえ、気にしないでください。ありがとうございます」
摩央「ええ、それじゃあまた。これからの活躍も期待しているわ」
悠奈「うーん、まあいいか! じゃあ、またね!」
かのん「はい、ではまた。わざわざありがとうございました」
かのん「……ふう、危なっ! 何とか乗り切った~」
かのん「あとは、人がいない隙にあのドアさえくぐれば……!」
スマホ「~♪」
かのん「わ、わ! マナーモードにしとけばよかった。いったい誰から、……悠奈さん?」
かのん「は、はい」
悠奈「パァ! 卒業おめでとう!」
摩央「おめでとう。3年間、あっという間ね。最初にフェスで見たときが懐かしいわ」
かのん(やばいやばい、ビデオ通話だ。でも、お祝いしてくれてるのにカメラオフにするのも失礼だし~)
かのん「ありがとうございます。サニパのお二人は……、あ、またサニパって言っちゃいました」
悠奈「いいよいいよ。スクールアイドルじゃなくなったけど、心は生涯サニパだと思ってるからね」
摩央「あなたもこれからLiella!の澁谷かのんって飽きるほど言われると思うけど、あまり気にしない方がいいわ」
摩央「……ところで、どうして顔の上半分しか映っていないの?」
かのん「え、そ、そうですか? いつもこれくらいだと思いますけど?」
かのん(さすがに不自然すぎた~。じゃあ、ぎりぎり肩くらいまでならセーフかな?)
悠奈「あ、映った映った。……あれ、まだ結構寒いのにブラウス一枚?」
かのん「いやいや、もうこっちも結構暑くって!」
悠奈「それに結ヶ丘って夏服でも肩まで制服なかったっけ」
かのん「いえ、それは……、あの、一回帰って着替えたんです!」
悠奈「でもリボン……」
かのん「え、ああー、リボン外すの、ワ、ワスレテター! お、教えてくれてアリガトウゴザイマス!」
悠奈「ふーん?」
摩央「まあ、とにかく、忙しい日にごめんなさいね。悠奈が直接お祝いを伝えたほうがいいと言うから」
かのん「はい、いえ、気にしないでください。ありがとうございます」
摩央「ええ、それじゃあまた。これからの活躍も期待しているわ」
悠奈「うーん、まあいいか! じゃあ、またね!」
かのん「はい、ではまた。わざわざありがとうございました」
かのん「……ふう、危なっ! 何とか乗り切った~」
9: 名無しで叶える物語◆b3YPxBMJ★ 2025/01/04(土) 14:19:51 ID:???00
かのん(よし、今度こそ、右よし、左よし。帰ってきたー!)
かのん「た、ただいm、ひっ」
かのん母「あら、今誰か入ってきたような……」
かのん(危ない、お客さんがいる!)
かのん(いっつもこの時間は閑古鳥が鳴いてるくせに、何でこんなときに限って!)
かのん(おしゃれなカフェの看板娘は変態だった、なんてうわさが広まったら、この店はおしまいだ)
かのん(それどころか、この土地に住めなくなっちゃう~!)
かのん(落ち着け。ここまで来たら勝利は目前。絶対負けない、勝つんだ! 裏口、裏口なら誰もいないはず)
かのん(……よし、ついに、ついにたどり着いた!)
かのん(これで一安心だ。あとは、部屋に何か着替えを取りに行って……)
ありあ「……おねえちゃん?」
かのん「あ、ありあ、これは、その、違うの」
ありあ「学校に行くの最後だからって、……そんな格好で」
かのん「だから、ね? 聞いて? 違うんだって」
ありあ「どんな趣味があっても自由だよ? でも、人に迷惑かけるようなことはしないでよね」
かのん「違うんだってば~!」
おわり
かのん「た、ただいm、ひっ」
かのん母「あら、今誰か入ってきたような……」
かのん(危ない、お客さんがいる!)
かのん(いっつもこの時間は閑古鳥が鳴いてるくせに、何でこんなときに限って!)
かのん(おしゃれなカフェの看板娘は変態だった、なんてうわさが広まったら、この店はおしまいだ)
かのん(それどころか、この土地に住めなくなっちゃう~!)
かのん(落ち着け。ここまで来たら勝利は目前。絶対負けない、勝つんだ! 裏口、裏口なら誰もいないはず)
かのん(……よし、ついに、ついにたどり着いた!)
かのん(これで一安心だ。あとは、部屋に何か着替えを取りに行って……)
ありあ「……おねえちゃん?」
かのん「あ、ありあ、これは、その、違うの」
ありあ「学校に行くの最後だからって、……そんな格好で」
かのん「だから、ね? 聞いて? 違うんだって」
ありあ「どんな趣味があっても自由だよ? でも、人に迷惑かけるようなことはしないでよね」
かのん「違うんだってば~!」
おわり
10: 名無しで叶える物語◆Ue7pBYSb★ 2025/01/04(土) 14:23:03 ID:???00
まさかこんな緊迫した事態になっていたなんて…
11: 名無しで叶える物語◆k4XEwfBm★ 2025/01/04(土) 14:25:11 ID:???00
乙
最初から事情を電話で説明して話してたら全部しなかった苦労なんじゃねえかな……
最初から事情を電話で説明して話してたら全部しなかった苦労なんじゃねえかな……
12: 名無しで叶える物語◆P8qcyRGB★ 2025/01/04(土) 14:30:06 ID:???00
この経験から始まりは君の空でジャージを脱ぎ捨てる演出に繋がったんだよね
13: 名無しで叶える物語◆iN6u2tX9★ 2025/01/04(土) 14:33:21 ID:???Sa
乙
見つかったのが家族でギリセーフかな
見つかったのが家族でギリセーフかな
14: 名無しで叶える物語◆Uj5yuPaL★ 2025/01/04(土) 14:53:49 ID:???Sd
草
15: 名無しで叶える物語◆Vz93JPFr★ 2025/01/04(土) 15:12:47 ID:???Sd
草たすかる
16: 名無しで叶える物語◆x6NXdvaK★ 2025/01/04(土) 18:15:54 ID:???Sa
乙
かわいそうはかわいい
かわいそうはかわいい
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anison_aqours
が
しました
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