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62: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:07:16.68 ID:b40E+317
 【数年後】


 ―東京―


ルビィ「気がついてほしいのに~♪」


ルビィ(ご飯は炊けた)

ルビィ(お味噌汁もできた)

ルビィ(おかずは――卵焼きと煮物だけでもセーフだよね)

ルビィ(曜ちゃんも最近、カレーで自分の食事当番を誤魔化してるもん)

63: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:08:07.07 ID:b40E+317
ルビィ「さて、あとは……」

ルビィ(ここからが大変)

ルビィ(今日はちゃんと起きてくれるかなぁ)

ルビィ(昨日、結構夜更かしさんだったから、心配)

ルビィ(曜ちゃん、お酒まで飲んでたし……)


ルビィ(念のため、おかずにはラップをして)

ルビィ(お味噌汁の火を止めるのも忘れないで)

64: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:08:36.90 ID:b40E+317
ルビィ「よーちゃん、朝だよ」

曜「……」

ルビィ「起きてよ、朝ご飯の準備できてるよ」ユサユサ


曜「……あ、さ?」

ルビィ「そうだよ、お日様も出ていいお天気だよ」

曜「……まぶ、しい」もぞもぞ

ルビィ「むぅ」

ルビィ(やっぱり今日は駄目かぁ)

65: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:09:13.58 ID:b40E+317
ルビィ「今日は一限がある日だよね。遅刻しちゃうよ」

曜「……いいじゃん、サボれば」

ルビィ「その言葉、今期に入ってから何度も聞いたよぉ」


曜「そんなことより、もう少し寝たい……」

ルビィ「駄目だって、留年しちゃう」

曜「いいねそれ。同じ学年になれる」

ルビィ「ちょっとぉ」

66: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:09:55.13 ID:b40E+317
曜「ルビィちゃんも一緒に寝ようよ。二度寝したら気持ちいいよ」

ルビィ「もー、なんでそうなるの」

ルビィ「もう起きられそうじゃん」


曜「いいからさ、こっちおいでよ」

ルビィ「やだ、このパターンの曜ちゃん、けだものさんだもん」

曜「あー、ばれたか」

ルビィ「駄目だよ、朝からなんて不健全なのは」

67: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:10:23.45 ID:b40E+317
曜「でもさー、昨日の夜は夜更かしした割になにもしなかったし」

ルビィ「関係ないよ、そんなの」

曜「人肌が恋しいんだよ」

曜「曜ちゃんうさぎさんだから、寂しいと死んじゃうであります」


ルビィ「……今晩じゃ駄目なの?」

曜「今がいい」

ルビィ「でもなぁ」

曜「お願い」

68: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:10:55.20 ID:b40E+317
ルビィ「……特別だよ」

曜「なんだかんだ言いながら受け入れてくれるよね、いつも」

ルビィ「いつも特別なんだよ、曜ちゃんには」

ルビィ「ルビィがいないと、寂しくて死んじゃうんでしょ」

曜「うん、ありがと」


ルビィ(やっぱり、ラップしておいて正解だったな)

ルビィ(朝だからそんなに時間はかからないけど、その後結局二度寝しちゃう)

ルビィ(午後から予定あるし、ちゃんと起きないと――)

ルビィ(でもまあ、いっか。なんとかなるよね、きっと)

69: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:11:44.14 ID:b40E+317
―――
――



ルビィ「はぁ」

ルビィ(結局、朝からしっかり付き合わされちゃった)


ルビィ(曜ちゃんがお盛んなのは全然直らない)

ルビィ(なんかあるとすぐにそっちの方向へ行こうとする)

ルビィ(まあずっと一緒にやってるせいか、かなり体力はついたから結果オーライ?)

ルビィ(正直、曜ちゃんと身体を重ねるのは、好きだし……)

70: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:14:31.88 ID:b40E+317
ルビィ(留年しちゃうって言ったけど、曜ちゃんは世渡り上手だからなんとかするんだろうな)

ルビィ(最近は外では問題なく、明るいの渡辺曜ちゃんでいられる)

ルビィ(平穏な日々のおかげで、精神的に不安定になることはない)

ルビィ(曜ちゃんも、ルビィも)


ルビィ(家や大学の辺りにはあんまり知り合いはいないし、基本二人だけの世界)

ルビィ(曜ちゃんの友だちはたくさんいるみたいだけど、ルビィは少な目だし)

ルビィ(休日、たまに曜ちゃん以外と遊ぶときでも、マルちゃんや善子ちゃん、理亞ちゃん一緒なぐらいだもん)

ルビィ(善子ちゃん曰く、りあじゅー全開の曜ちゃんとは大違い)

71: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:15:25.67 ID:b40E+317
ルビィ(でも曜ちゃんも、家の中――ルビィの前での言動は酷くなる一方)

ルビィ(どんどん駄目になっていく)


ルビィ(仕方ないよね)

ルビィ(千歌ちゃんの前で格好良くあろうとした曜ちゃん)

ルビィ(ルビィの前だと、全然気にしなくてもいいからどんどん怠けて)

ルビィ(長年の反動もあるのかなぁ)

ルビィ(それだけ、しんよーされてる?)

ルビィ(むしろそのダウナーな感じが受けて、前よりモテるようになったのは少し気に入らないけど)

72: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:16:19.17 ID:b40E+317
曜「おはよー」

ルビィ「おそよー」

曜「あー、もうそんな時間か」


ルビィ「曜ちゃん、寝癖なおってないよ」

曜「いいよ、あとでシャワー浴びるから」

曜「流石にこの状態じゃ外に出れないしさ」

ルビィ「そりゃねぇ」

曜「ルビィちゃんはもう浴びた?」

ルビィ「曜ちゃんが二度寝している間にね」

曜「だよねぇ」

73: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:16:51.14 ID:b40E+317
曜「うーん、いい匂い」

曜「朝起きたら朝食がある生活は楽でいいねぇ」

ルビィ「もう時間的にはお昼の方が近いけどね」

曜「うん、確かに」


ルビィ「午後からはちゃんと大学行かなきゃ駄目だよ」

曜「分かってるよ」

ルビィ「本当かなぁ」

曜「もう三年だし、この辺で単位落とすと面倒だからなぁ」

ルビィ「それは学年関係なく同じだよ……」

74: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:17:44.64 ID:b40E+317
曜「ルビィちゃんも来年になれば分かるよ」

ルビィ「そんなもの?」

曜「そんなもんだよ」


曜「でもルビィちゃんも、もう二年生」

曜「一緒に暮らし始めてから一年以上が経つんだよね」

ルビィ「だよ。ルビィが入学してからだもん」

曜「一人娘に甘いパパのおかげで手に入れた綺麗で広い部屋」

曜「そこに『突然進学先を変更して下宿先に困っていた』後輩を招き入れるのは、そう難しくなかったよね」

75: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:19:53.55 ID:b40E+317
ルビィ「すんなりと計画通りに進んだのはびっくりしたよね」

曜「うんうん、我ながら結構ガバガバな計画だったのに」

曜「やっぱりダイヤさんも協力してくれたのは大きいよね」


ルビィ「お姉ちゃん、話をうまく通してくれたんだよね」

曜「私たちの関係も隠してくれるし、ダイヤ様々だよ」

曜「今度また、お礼を言いに行かなきゃ」

ルビィ「うん」

76: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:20:33.42 ID:b40E+317
ルビィ(最初に関係を知られてから数年)

ルビィ(お姉ちゃんは、未だに曜ちゃんとの別れを勧めてこない)

ルビィ(それどころか、前より協力的になってくれてる気もする)

ルビィ(楽しめるうちに楽しんでおけ――みたいな感じなのかなぁ)

ルビィ(曜ちゃん経由でルビィが事情を聴いていること、分かっているはずなのに)

ルビィ(まあ、馬鹿なルビィにはおねーちゃんの考えてることなんていくら考えてもわかんないだろうけど)

77: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:21:12.68 ID:b40E+317
曜「でもほんと、助かるよ」

曜「私が一人で暮らしていた時は、なかなか悲惨な生活送っていたからさ」


ルビィ「だよね、最初はびっくりしたよ」

ルビィ「お料理できるはずなのに、調理器具さえまともになかったし」

曜「いやぁ、こっちに来ると自炊しなくても安く食べる方法がたくさんあるからさ」

曜「本格的なものを作ると材料費もかさむし、一年生の時は時間もなかったから、ついつい楽な方へとね」

ルビィ「それ、遊び惚けていただけだよね」

曜「いやいや、なんのことやら」

78: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:21:41.10 ID:b40E+317
ルビィ「同じ大学の同じ学部だよ、誤魔化せないもん」

曜「あはは、浮気はしてないから許してよ」

ルビィ「うん、それは信用してる」


曜「おっ、私もついに信頼度が上がってきた?」

ルビィ「ううん、曜ちゃんはそんな度胸がないヘタレさんだから」

曜「おっと、そうきたか」

ルビィ「それに、他の人が目に入らないぐらい、ルビィのことが大好きでしょ」

79: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:22:16.40 ID:b40E+317
曜「……そういうこと言われると、また抱きたくなっちゃうね」

ルビィ「変な意味じゃなかったらいいよ」

曜「じゃあお言葉に甘えて」ギュー

ルビィ「ルビィも~」ギュー


曜「もー、この子のはどうして二十歳近くなっても可愛いままなのかなぁ~」

ルビィ「よーちゃんも二十歳超えても格好いいままで困るよ~」

曜「うーん、この子を独占できて私は幸せだなぁ」

ルビィ「お互いさまだねぇ」

80: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:22:48.02 ID:b40E+317
曜「ルビィちゃん、今日は全休だっけ」

ルビィ「そうだよ。だから友達と遊びに行ってくる予定」

曜「うわぁ、いきなり浮気だぁ」


ルビィ「相手はマルちゃんたちだよ、ないない」

曜「むしろ心配になるような気もするなぁ」

ルビィ「はいはい。ちゃんと夜には帰るからね」

曜「あっ、私は夜に友達と飲みに行く予定があるからさ」

ルビィ「えっ、そっちの方が浮気っぽい」

81: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/09(日) 06:23:33.32 ID:b40E+317
曜「いいじゃないか、信じてくれてるんでしょ」

ルビィ「そういう問題じゃないよぉ」

曜「ルビィちゃんも夜無理に帰らなくていいからさ」

曜「花丸ちゃん達と楽しんできなよ」

ルビィ「……分かった」


曜「あっ、浮気してもいいよ。私を一番好きでいてくれるなら」

ルビィ「しないもん!」

94: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:20:36.83 ID:y4H93umc
 ―夜―


ルビィ「もうもう、曜ちゃんはもう!」

理亞「る、ルビィ、元気出して」

ルビィ「ルビィは元気だもん!」

理亞「そ、そうね」

95: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:21:14.39 ID:y4H93umc
花丸「あーあ、ずっとこの調子だよ」

善子「荒れてるわねぇ」

花丸「東京に来てから、ルビィちゃん怒りっぽくなったよね」

善子「先輩との同居生活によるストレスかしら」


花丸「――そうだよ、間違いない!」

花丸「曜ちゃんがルビィちゃんにストレスを与えてるんだよ!」

善子「いやまあ、そこまでは言ってないけど……」

96: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:22:01.90 ID:y4H93umc
ルビィ「この前もね、ルビィが楽しみしていたアイスを勝手に食べちゃって」

理亞「そ、それはちょっと酷いわね」

ルビィ「本当だよぉ。結局、ルビィの好きな高いアイスを代わりに買ってくれたけど……」

理亞「それなら別によくない?」


ルビィ「よくない!」

ルビィ「なんかこー、いちいちむしんけーなんだよ!」

理亞「そ、そう……」

97: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:22:46.94 ID:y4H93umc
善子「ちなみに、なんで今は不機嫌になってるの?」

花丸「曜ちゃん、当番の洗い物をしてなかったらしいよ」

善子「それだけ?」

花丸「たぶんそれは建前で、実際にはなんだかんだ家に居ると思っていた曜ちゃんが、本当に居なかったこと」

善子「……女って、面倒くさいわね」

花丸「マルたちみんな女の子ずらよ」

善子「そりゃそうだけどねぇ」

98: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:23:23.64 ID:y4H93umc
善子「依存体質なのかしらね、ルビィは」

花丸「それは曜ちゃんも、かな」

善子「ホント、めんど……」


花丸「ルビィちゃんはそれが可愛いんだよ」

善子「あんたもある意味ぶれないわねぇ」

花丸「そう?」

善子「あーあ、なんでこうなるのに、一緒に住んでるのかしら」

花丸「……さあ」

99: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:23:57.89 ID:y4H93umc
ルビィ「善子ちゃん、何をこそこそ話してるの~」

善子「やばっ」

ルビィ「曜ちゃんの悪口は許さないよ~」

善子「自分だって言ってたじゃない」

ルビィ「ルビィはいいの、だって――」


花丸「ルビィちゃん、どうどう」

ルビィ「ぐるるる」

100: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:24:37.83 ID:y4H93umc
理亞「あぁ、助かった」

善子「お疲れ様」

理亞「昼間は普通に遊んでたのに、渡辺曜がいないだけでこんなに不機嫌になるなんて」

善子「甘えん坊のルビィらしいといえばそれまでだけど」

理亞「お酒、飲めないのが幸いね」

善子「私たちみんな、誕生日まだだからね」


善子「お酒飲めるようになったら荒れそうねぇ」

理亞「酒に溺れて崩壊していくルビィ……」

善子「マズいわね、家庭崩壊の危機かも」

101: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:25:15.77 ID:y4H93umc
理亞「大丈夫よ、旦那は既にお酒好きだから」

善子「強そうだものね」

理亞「アルハラとかしそうよね」

善子「それは流石に偏見な様な」

理亞「だって体育会系はみんなするんでしょ?」

善子「あぁ、曜さんじゃなくてそっちへの偏見ね」

理亞「でも姉様はそんな感じのところある」

善子「……将来、頑張ってね」

102: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:26:29.96 ID:y4H93umc
ルビィ「はぁ、スッキリした」

善子「あら、もういいの?」

ルビィ「うん。よく考えたらそこまで怒るようなことじゃなかった」

善子「でしょうね」


ルビィ「ごめんね、せっかく来てもらったのに」

理亞「気にしないで、押しかけたのは私たちの方だから」

花丸「そもそも一番悪いのはあの駄目亭主ずら」

善子「だ、駄目亭主――ぷっ」

理亞「確かに、そんな感じね」

103: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:26:59.89 ID:y4H93umc
ルビィ(亭主とか、旦那さんとか、みんな冗談で言ってる)

ルビィ(でもその度、心の中ではちょっとドキドキ)

ルビィ(善子ちゃんと理亞ちゃんは、ルビィと曜ちゃんの関係を知らない)

ルビィ(単純に同居人、凄く仲が良い友達みたいな認識)

ルビィ(少しは怪しまれているのかなとは思うけど、そんな素振りはなくて)

ルビィ(上手く隠せていると喜びたい反面、そんな風に見えないのかなとガッカリしたり)

ルビィ(最初から女の子同士の恋愛なんて疑う方が珍しいのかもしれないけど――)

104: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:27:44.66 ID:y4H93umc
善子「でも見せてみたいわね、今の曜さんを沼津でキャーキャー言ってた女の子たちに」

善子「どんな反応をするのか、興味があるわ」

ルビィ「よーちゃん、キャーキャー……」

花丸「あっ、善子ちゃんの馬鹿」

善子「へっ」


ルビィ「曜ちゃんね、酷いんだよ!」

ルビィ「この前知らない男の子から声かけられてもヘラヘラ笑って楽しそうにしてたし、今日だってルビィを置いて知り合いと――」

105: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:28:27.71 ID:y4H93umc
理亞「……馬鹿善子」

善子「……悪かったわよ」

花丸「どうしよう、なんかもう止まらない――」


 ピーンポーン


ルビィ「あっ、曜ちゃん!」パタパタ


善子「……止まったわね」

理亞「凄い変わり身……」

花丸「…………」

106: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:29:18.27 ID:y4H93umc
曜「ただいま~」

ルビィ「おかえり曜ちゃん、早かったね!」

曜「早い時間だと安い店があるからそこで――あれ、靴がたくさんあるね」

ルビィ「うん、三人が遊びに来てるの」

曜「あー、連れてきたんだ」

ルビィ「嫌だった?」

曜「そんなことないよ、普通に嬉しい感じ」

107: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:30:00.52 ID:y4H93umc
曜「やぁ、後輩三人組たち」


花丸「駄目亭主が帰ってきたずら」

善子「本当ね、駄目亭主だ」

理亞「うん、駄目亭主」


曜「な、なぜ帰宅と同時に後輩たちから暴言を浴びせされるんだろう」

善子「そりゃ、ねぇ」

花丸「こんな時間からお酒を飲んで帰る人は、言われても仕方ないよ」

曜「えー」

108: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:30:53.68 ID:y4H93umc
曜「冷たいよーしこー」ぐりぐり

善子「うわっ、やっぱり少し酒臭い」

曜「マジで、そんなに飲んでないんだけど」


理亞「やっぱり、普通とは基準が違うのかしら」

花丸「かも」


ルビィ「曜ちゃん、お水飲む?」

曜「あー、お願い」

109: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:31:47.10 ID:y4H93umc
曜「三人はご飯食べた?」

善子「まだよ」

花丸「曜ちゃんを待ってたせいだよ」

曜「えっ、それはごめん」


理亞「そうだっけ?」

善子「違うわよ」

花丸「うん、嘘ずら」

曜「うぅ、花丸ちゃんがいじわる……」

110: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:32:31.16 ID:y4H93umc
ルビィ「曜ちゃん、お水――」

曜「ルビえもん~、マルちゃんがいじめる~」

ルビィ「へっ」


花丸「や、やめるずら!」

曜「やめない!」

ルビィ「う、うゅ?」


善子「酔っ払い、怖いわね」

理亞「いや、あれは酒をダシに花丸をからかってるだけ」

111: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:33:16.39 ID:y4H93umc
善子「そうなの?」

理亞「うん、たぶん本当は酔ってない」

善子「なんで分かるの?」

理亞「姉さまによく同じようなことをされるから」

善子「……なんか、聖良さんのイメージが勝手に崩れていくんだけど」


理亞「しっかりした人ほど、お酒を飲むと弾けるのよ、きっと」

理亞「渡辺曜だって、多少駄目になっても根はちゃんとしてるでしょ」

善子「……そうなのかしら」

112: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:34:50.83 ID:y4H93umc
曜「そうそう。そうなんだよ」

理亞「うわっ」

善子「き、聞いてたの?」

曜「うん」


曜「だから善子ちゃんもお酒を飲んだら絶対面倒なタイプだと思うよ」

理亞「あー」

花丸「確かに」

ルビィ「そうかも」

善子「な、なんでそうなるの」

113: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:35:58.47 ID:y4H93umc
曜「だってほら、善い子ちゃんでしょ」

善子「違うわよ、私は堕天使なんだから!」

善子「そもそも善子じゃなくてヨハネ!」

曜「うわっ、出たよそのネタ」

善子「ネタ言うな!」


花丸「懐かしいずら~」

ルビィ「だねぇ」

理亞「でもやっぱり少し痛いわね……」

114: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:36:34.08 ID:y4H93umc
曜「それはともかく――ご飯まだなら食べに行かない?」

善子「そうね」

ルビィ「花丸ちゃん、さっきからお腹空かせて不機嫌だし」

理亞「うん」

花丸「ギクッ」

曜「あー、それで突っかかってきてたのか」


花丸「……よく分かったね、お腹空いてるって」

善子「もう長い付き合いだしねぇ」

ルビィ「ねー」

115: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:37:13.84 ID:y4H93umc
ルビィ「でも曜ちゃん、もう食べてきたんだよね」

曜「少しはね。でも軽くならまだ入るし」

曜「一人置いていかれるのも寂しいじゃん」ギュー

ルビィ「もぅ、甘えん坊さんなんだから~」


善子「おー、ラブラブね」

理亞「そうね」

花丸「は、離れるずら、この駄目亭主!」

曜「おっと、すっかり狂犬モード――というかさっきからその駄目亭主ネタなにさ」

116: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:37:54.30 ID:y4H93umc
曜「仕方ない、花丸ちゃんのご機嫌を取る為に――」

曜「曜ちゃん、みんなにご飯奢っちゃおうかな!」


花丸「!」

善子「!」

理亞「!」


ルビィ「えっ、いいの?」

曜「うん。せっかく後輩が集まってるし」

117: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/10(月) 06:38:22.16 ID:y4H93umc
花丸「曜ちゃん!」

曜「んっ、どうしたの?」

花丸「曜ちゃんは最高の先輩ずら!」

曜「そう? いやー、照れるねぇ」


花丸「早く行くずら~」

善子「そうね、行きましょう!」

理亞「うん!」

ルビィ「ちょ、ちょっと待ってぇ~」

2: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:17:27.07 ID:G8azG0SV
 ―翌日・大学講義室―


教授「LGBTと呼ばれる人の割合は非常に多く――」


ルビィ「ふわぁ」

ルビィ(結局、昨日は遅くまで遊んじゃったな)

ルビィ(よーちゃん、ご飯屋さんでさらにお酒飲んじゃって今日はお休み)

ルビィ(よくよく考えたら、始めからその気だったのかもしれないけど……)

ルビィ(最近飲酒量が増えてきてるから、ちょっと心配かも)

3: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:18:02.52 ID:G8azG0SV
ルビィ(でも昨日は大目に見てあげようかな)

ルビィ(久しぶりにマルちゃんとも仲良しさんで、二人とも楽しそうだったから)

ルビィ(普段、どこかぎすぎす? とした雰囲気があるもん、あの二人)

ルビィ(それが昨日は、純粋に楽しそうだった)

ルビィ(お酒も悪いことばかりじゃないのかな――ルビィは苦手そうだけど)


ルビィ(あと寝顔、可愛かった)

ルビィ(あどけない感じ、まだちょっと子どもっぽい)

ルビィ(子どもらしさが抜けない代表のルビィがいうのも変かもだけど)

4: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:19:40.80 ID:G8azG0SV
教授「理論上ではありますが、例えばこの部屋を見回してみると、その中に数人、そのような指向を持った人がいるのです」


ルビィ(好きな人と一緒に暮らせる)

ルビィ(多少不満に思うことはあっても、とても幸せな生活)

ルビィ(きっとこれ以上の贅沢はないと思う)


ルビィ(でもルビィたち、これからどうなっていくんだろう)

ルビィ(例えずっと一緒にいられても、今の仕組みだと結婚はできない、当然だけど子どもも持てない)

ルビィ(偏見にさらされて、それを隠して生きていかなきゃいけない)

5: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:20:17.05 ID:G8azG0SV
ルビィ(いくら昔に比べれば、同性愛者への風当たりは弱くなってるみたい)

ルビィ(でも結局、親や家族の理解や支援は絶対に必要)

ルビィ(だけどルビィのおうちは昔のまま――ううん、それ以上)

ルビィ(絶対に同性愛なんて許してもらえない)


ルビィ(おとーさんかおかーさんが家に都合のいい相手を探してきて、お見合いして、結婚して、後継者を生んで)

ルビィ(それがルビィの求められているもの)

ルビィ(それだけが、ルビィに求められているもの)

6: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:21:17.84 ID:G8azG0SV
ルビィ(いくら男の子は嫌だと主張しても、曜ちゃんが好きだと主張しても……)


ルビィ(曜ちゃんはもう三年生)

ルビィ(今の時間は楽しいけど、残された時間が減っていくことを毎日実感させられる)

ルビィ(ずっと一緒にいると誓ってるのに、その方法なんてルビィには分からない)


ルビィ(いつか思いつくかな、道が開けるかな)

ルビィ(そうやって考えている内に、こんなに時間が経っちゃった)

ルビィ(やっぱり無理、不可能なのかな)

ルビィ(どうしても現実的な方向へと頭が向かっちゃう)

7: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:21:53.46 ID:G8azG0SV
ルビィ(残された選択肢――やっぱり、駆け落ち?)

ルビィ(後ろ盾もない女の子二人で?)


ルビィ(そんなの無理だよ)

ルビィ(裏側で、人間の汚い部分を肌に感じながら泥をすすって生きるような人生しか送れない)

ルビィ(それなら、お別れしたほうがいいよ)

ルビィ(曜ちゃんならきっと、新しい恋人さんだって見つけられる)

ルビィ(ルビィより綺麗で、ルビィよりしっかりした、素敵な人を)

ルビィ(ルビィも黒澤家の人間として、味気ないけど、世間的に見れば幸せな生活を送れる)

8: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:22:22.36 ID:G8azG0SV
ルビィ(けど、そうやって簡単に割り切れないから恋愛なんだよね)


ルビィ(ずっと憧れだった曜ちゃん)

ルビィ(ルビィにはない才能を持っていて、何でもできて、格好良くて)

ルビィ(花丸ちゃんや善子ちゃんと一緒に、素敵だなっていつも話してた)


ルビィ(でもそんな輝いている裏に、弱いよーちゃんがいて)

ルビィ(好きになったのは、それを知った時?)

ルビィ(ぼせーほんのーみたいな感じ?)

9: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:23:01.94 ID:G8azG0SV
ルビィ(最初に曜ちゃんに迫られたあのとき)

ルビィ(本人はずいぶん気にしているみたいだけど、懐かしい)

ルビィ(ずいぶん前に話したみたいに、少し怖かったのは本当)

ルビィ(でも嫌な気持ちはなくて、どちらかといえば驚きが強くて)

ルビィ(行為自体も本人が語っているほど、強引でも、無理やりでもなかった)

ルビィ(悪役にはなれないんだよね、結局)


ルビィ(それが曜ちゃんのやさしさ)

ルビィ(臆病、弱さと例える人もいるけど、ルビィはやっぱりやさしさだと思う)

ルビィ(そう思えるから、やっぱりルビィは曜ちゃんのことが好きなのかな)

10: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:23:52.20 ID:G8azG0SV
ルビィ(ルビィの大切な恋人さん)

ルビィ(もしお別れしなきゃいけない日が来たら、どんな反応をするのかな)

ルビィ(やっぱり、壊れちゃうのかな)

ルビィ(普段から脆くて、簡単に崩れちゃうあの人じゃ、耐えられないよね)


ルビィ(……嫌だ、そんなの)

ルビィ(ルビィも、曜ちゃんがいない世界で生きていくなんて嫌だ)

ルビィ(でも……)


ルビィ「よーちゃん……」

11: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:24:20.22 ID:G8azG0SV
 ―マンション―


ルビィ「ただいまぁ」


ルビィ(返事、ない)


ルビィ「よーちゃん?」

ルビィ(靴はあるし、外出じゃないよね)

ルビィ(まだ寝てるのかな)

12: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:25:27.28 ID:G8azG0SV
曜「すぅ……」

ルビィ「やっぱり……」


ルビィ(もうおやつの時間に近いのに、ずいぶんお寝坊さん)

ルビィ(可哀想な気もするけど、流石に起こしてあげたほうがいいかなぁ)

ルビィ(うーん、でも……)


曜「んっ、るびぃちゃ……」

ルビィ「あっ」

13: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:26:02.09 ID:G8azG0SV
曜「ふわぁ、おそよーそろー」

ルビィ「今起きたの?」

曜「うん、ルビィちゃんを感じたから」

ルビィ「本当は?」

曜「お腹空いて」

ルビィ「ふふっ、タイミングばっちりだね」

曜「ルビィちゃんは美味しそうな匂いがするからね」

14: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:26:34.77 ID:G8azG0SV
ルビィ「匂い?」

曜「なんかこう、温かいミルクみたいな匂い」

ルビィ「初めて言われたよ、そんなこと」

曜「だろうね、これは私にしか感じられないことだから」


曜「恋をしてるとね、その相手に、自分しか分からない特別なものを感じるんだよ」

ルビィ「へぇ……」

曜「ルビィちゃんはない? そういうの」

ルビィ「わかんない――きっといっぱいありすぎるから」

曜「あはは、そっか」

15: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:27:09.76 ID:G8azG0SV
ルビィ「とりあえず、なにか食べる?」

曜「そうだねぇ……」

ルビィ「作ってもいいよ」

曜「いや、そこまでしなくていいや」


曜「ルビィちゃん、お昼は普通に食べたの?」

ルビィ「うん」

曜「じゃあ適当にお菓子でも食べて、夜まで我慢かな」

曜「食事当番私だから、量は食べられるし」

16: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:27:41.38 ID:G8azG0SV
ルビィ「……またカレー」

曜「パパから教わった船乗りカレーだよ、美味しいでしょ」

曜「ルビィちゃんは嫌い?」


ルビィ「好きだけど、美味しいけど、飽きたよぉ」

曜「うーん、じゃあ変えようか」

ルビィ「えっ、いいの!」

曜「うん、今日は普通のカレーに――」

ルビィ「カレーから離れてよぉ」

17: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:28:36.34 ID:G8azG0SV
曜「そこまで言われたら仕方ない、諦めるかぁ」

ルビィ「ほっ」

曜「代わりにルビィちゃんに合わせて、じゃがいもいっぱい買ってきてフライドポテト盛りね」

ルビィ「そ、それがご飯はちょっとやかなぁ」

曜「一緒にハンバーグも作るよ、付け合わせの野菜に、ご飯の代わりにパンも用意して」

ルビィ「あ、それならいいかも!」

曜「でしょ。私もルビィちゃんも好きな物だし」

曜「今日は時間もあるしさ、買い物行って、料理したらちょうどいいぐらいだよ」

18: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:29:07.41 ID:G8azG0SV
ルビィ「いいね、楽しそう!」

ルビィ「二人で好きな物を食べて、満足して」

ルビィ「うんうん、凄くいいよ!」


曜「ついでに映画でも見ようか」

曜「昨日はみんなとワイワイやったから、今日は二人でゆっくり――みたいな感じでさ」

ルビィ「わぁ、流石よーちゃん」

曜「最近迷惑かけっぱなしだから、ここらで挽回しないとだしね」

19: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:29:43.56 ID:G8azG0SV
ルビィ「お買い物、一緒にいこ!」

曜「うんうん、そうしようか」

曜「ちょっと待ってね、準備するから」

ルビィ「うん!」

曜「他に何か食べたい物あるか考えておいて」

曜「今日は普通に料理をしたい気分だからさ」

ルビィ「分かった!」

20: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:30:50.11 ID:G8azG0SV
 ―スーパー―


ルビィ「~♪」

ルビィ(必要な物、大体揃ったかなぁ)

ルビィ(あとなにか――あっ、せっかくだしアイスも買っちゃおうかな)

ルビィ(そろそろ暑くなってくるし、曜ちゃんだって食べたいよね)

ルビィ(箱のアイス? それと昔おねーちゃんと食べたみたいな、二人で分けられるタイプがいいかなぁ)

21: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:31:19.19 ID:G8azG0SV
ルビィ「ねえ、曜ちゃん――」

曜「げっ」

ルビィ「うゅ?」


曜「ど、どうしたの」

ルビィ「いや、アイス買いたいけど、曜ちゃんもどうかなって」

曜「あ、ああ、そういうこと」

曜「いいんじゃないかな、私も食べたいし」

ルビィ「だよね!」

22: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:32:23.44 ID:G8azG0SV
ルビィ(でもどうして、動揺してたのかな)

ルビィ(なにか後ろめたいことが――あっ)


ルビィ「ねえ、曜ちゃん」

曜「な、なにかな」

ルビィ「……カゴに入ってる、このビンはなに?」

曜「……お酒です」

ルビィ「やっぱり」

曜「バレてたかぁ」

23: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:33:00.51 ID:G8azG0SV
ルビィ「もー、駄目だよ」

ルビィ「今日は二人でゆっくり過ごすんでしょ」

曜「あはは、安かったからつい……」


ルビィ「それに最近の曜ちゃんは飲み過ぎ。せっかくの美人さんが変になっちゃうよ」

曜「そんな変わんないよ、たぶん」

ルビィ「若いときの意識が後の自分にえいきょ―をするってお姉ちゃんが言ってたよ」

曜「うむむ、ダイヤさんの言葉となると気になる……」

ルビィ「うん、お姉ちゃんが言うなら間違いない」

24: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:33:30.26 ID:G8azG0SV
ルビィ「とりあえず、善子ちゃんの誕生日まで禁酒ね」

曜「あー、もうすぐよーしこーの誕生日か」

ルビィ「うん」


曜「うちでお祝いするんだっけ」

ルビィ「そうだね、一番広いのはルビィ達のおうちだから」

ルビィ「そもそも言いだしたの、昨日の曜ちゃんだよ」

曜「……マジか、あんまり覚えてない」

25: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:34:04.03 ID:G8azG0SV
曜「でもさ、誕生日まであと数週間はあるよ」

曜「流石にそこまで禁酒は辛くない?」

ルビィ「うーん、そうかなぁ」

曜「ほら、付き合いとかもあるしさ」

ルビィ「えー、ならせめておうちでは飲まないようにしよーよ」

曜「……確かに、そうだね」

曜「家で飲んだら、ルビィちゃんに迷惑かけちゃうし」

ルビィ「そうそう」

26: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:34:33.32 ID:G8azG0SV
曜「分かった、家では飲まないようにするよ」

ルビィ「代わりに外でたくさん飲むのも駄目だからね」

曜「ギクッ」


ルビィ「よーちゃん」

曜「あはは、冗談だって」

ルビィ「本当に?」

曜「大丈夫、信じてよ」

27: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:35:17.29 ID:G8azG0SV
曜「でもよーしこー飲ませる用のお酒買っておかないとね」

ルビィ「善子ちゃん、お酒飲むかなぁ」

曜「興味あるみたいなことは言ってたらしいよ」

ルビィ「そうなの?」

曜「梨子ちゃん経由だからたぶん間違いないね」

ルビィ「あー、なるほどぉ」

曜「実際ハマりそうなタイプだしね。酔ったら面倒くさそうだけど」

ルビィ(……そこはみんなのきょーつー認識なんだ)

28: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:35:52.69 ID:G8azG0SV
曜「でも何がいいかなぁ」

曜「最近見つけたぶどうジュースみたいに甘い赤ワインとかか」

曜「悪魔の血とか適当いえば喜んで飲むでしょ、あの子」

ルビィ「そ、それはどうかなぁ」


曜「いやー、楽しみ」

曜「一度後輩を潰してみたかったんだよね」

ルビィ「あ、あはは」

ルビィ(本当にあるはらさんになってる……)

29: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:36:23.63 ID:G8azG0SV
曜「まあそれは今度でいいから――アイスが溶ける前に会計済ませて帰ろうか」

曜「早く帰ってご飯にしないと、曜ちゃんのお腹の虫が悲鳴を上げそうだよ」

ルビィ「だね」


曜「あっ、でもグラタンの材料も買って帰ろうかな」

ルビィ「グラタン?」

曜「今日は対ダイヤさん専用メニューにしようかと」

ルビィ「あはは、どうしてそーなるの」

曜「ほら、ダイヤさんを倒せ! 的な?」

ルビィ「お姉ちゃん、可哀想だよぉ」

曜「まあまあ、実際は単純に私が食べたいだけだし」

30: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:36:52.53 ID:G8azG0SV
ルビィ「よーちゃんは子どもっぽいね」

曜「ルビィちゃんに言われたくないよ~」

ルビィ「ルビィはよーちゃんより大人だよ」

ルビィ「朝も起きれるし、講義にもちゃんと出席してるもん」


曜「いやいや、むしろいい子ちゃん過ぎて中高校生っぽい」

曜「私の方が、模範的な文系大学生してるから大人だよっ」

ルビィ「うわぁ、謎のドヤ顔」

31: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 05:37:25.48 ID:G8azG0SV
曜「あっ、でもルビィちゃんも大人な部分もあるよね」

ルビィ「えっ、本当!?」

曜「うん、ベッドの上とか」

ルビィ「あー、セクハラだ」

曜「いやー、禁酒のせいで他の欲が強くなって」

ルビィ「そーゆーこと言ってると、もう付き合ってあげないよ」

曜「そ、それは困る、ごめんごめん」


ルビィ「ほらほら、変なこと言ってないで早くいこ」

ルビィ「時間は、いくらでもあるわけじゃないんだから」

曜「はーい」

32: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:15:15.74 ID:G8azG0SV
 ―数日後・カフェ―


ルビィ「――それでね、そのゾンビに曜ちゃん珍しく怯えてて」

花丸「ふんふん」

ルビィ「ルビィは珍しく平気だったのに、曜ちゃんは本当に怖かったみたいで」

ルビィ「ブルブル震えながら抱きついてきて、可愛かったんだぁ」

花丸「本当に珍しいね、怖がる曜ちゃん」

ルビィ「だよね~」

花丸「うーん、ちょっと見てみたいかも」

33: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:15:47.93 ID:G8azG0SV
花丸「でも妬けちゃうなぁ」

花丸「相変わらず、ラブラブみたいで」

ルビィ「ふふん」

花丸「はぁ、マルも恋人ほしいよ……」


ルビィ「全然そーゆー話はないの?」

花丸「うん」

ルビィ「マルちゃん可愛いのに、意外」

花丸「恋愛小説とかたくさん読んで憧れてはいるんだけどなぁ」

34: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:16:19.20 ID:G8azG0SV
ルビィ「あれかな、本の登場人物のせいで、理想が高くなってるとか」

花丸「うーん、それはあるかも」

花丸「あとすごく可愛い子が身近にいるから、あんまり普通の人に魅力を感じないのかなぁ」

ルビィ「可愛い子?」


花丸「それはもちろん――ルビィちゃんずら!」

ルビィ「ピギッ」

花丸「二十歳超えて衰えない可愛らしさ――未来ずら~」

ルビィ「ちょっと、恥ずかしいよぉ」

35: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:16:58.23 ID:G8azG0SV
花丸「実際、ルビィちゃんだったら恋人でも全然OKなのに」

ルビィ「そ、そう?」

花丸「うん、大歓迎」

ルビィ「て、照れるな」

花丸「いっそ曜ちゃんと別れて、マルと付き合う?」

ルビィ「それは駄目だよぉ」

花丸「うぅ、こんな素敵な子を彼女に持つ曜ちゃんが憎い……」

ルビィ「あはは」

36: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:17:33.45 ID:G8azG0SV
花丸「けどさ、そもそもマルの場合、女子高で今も女子大の文芸学部だし、そもそも出会うきっかけがね」

ルビィ「そっか、そうだよね」

花丸「周りには凄い積極的な子もいるけど、人見知りだし、そんな性格じゃないし……」


ルビィ「うーん、別に無理しなくてもいいんじゃないかな」

ルビィ「ゆっくりの方が、マルちゃんっぽいよ」

花丸「むむむ、恋人持ちの余裕……」

ルビィ「そんなんじゃないよー」

37: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:18:21.42 ID:G8azG0SV
花丸「でも確かに、焦るのはマルらしくないよね」

ルビィ「うんうん」

花丸「正直今は恋人より、本とか食べ物の方が興味あるもん」

ルビィ「今もワッフル、二皿も食べてたもんね」

花丸「えへへ、美味しそうだったからつい」

ルビィ「食べてる時の幸せそうなマルちゃん、ルビィは好きだよ」

花丸「東京は食べ物の誘惑が強すぎて困るずら~」

38: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:18:59.68 ID:G8azG0SV
ルビィ「分かるよ。ルビィもいつも誘惑に負けそうになるもん」

花丸「ルビィちゃんはどうやって誘惑に抗うの?」

花丸「マルはいつも流されて食べちゃうけど

ルビィ「うーん、どうやって……」


ルビィ「だいたい、曜ちゃんのことを考えて抑えるかな」

花丸「曜ちゃんの?」

ルビィ「例えば、一人で食べたら曜ちゃんが可哀想だなとか、早く帰ってあげないと寂しがるかなとか考えるかも」

ルビィ「その分一緒にいるときは、誘惑に流されてる気もしちゃうけど」

39: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:19:37.08 ID:G8azG0SV
花丸「むぅ、やっぱり恋人なのかな」

ルビィ「結局そうなるのかな」

花丸「恋人、しかもずっと一緒にいるような相手」

花丸「はぁ、マルには無理ずら……」


ルビィ「そ、そんなことないよ」

花丸「でもイメージできないずら……」

ルビィ「そもそも、ルビィだってずっと一緒にいられるかは……」

花丸「……将来のこと?」

ルビィ「……うん」

40: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:20:13.22 ID:G8azG0SV
ルビィ「最近ね、ずっと悩んでるの」

ルビィ「ルビィと曜ちゃんは、どうなるか」

ルビィ「いつまでこんな生活を続けられるか」

ルビィ「いくら考えても、明るい未来が想像できなくて」

花丸「……ルビィちゃん」


ルビィ「ねえ、マルちゃんはどうしたらいいと思う?」

ルビィ「どうするのが、一番幸せになれるのかな」

41: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:20:41.23 ID:G8azG0SV
花丸「マルは、早く諦めた方がいいと思う」

ルビィ「マルちゃん……」


花丸「長引けば長引くほど、後に引きずるよ」

花丸「だから、早めに別れて、違う道を歩むのがいいんじゃないかな」

ルビィ「でも曜ちゃん、ルビィがいないと……」

花丸「そこはほら、マルも一緒に方法を考えてあげるから」

ルビィ「…………」

42: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:21:15.85 ID:G8azG0SV
??「どうしたのかな、暗い顔して」

ルビィ「へっ」

千歌「そんな顔をしてたら、美少女が台無しだよ」


花丸「千歌ちゃん?」

千歌「うん、そうだよ!」

ルビィ「わぁ、久しぶりだね」

千歌「うむ」

43: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:21:47.03 ID:G8azG0SV
花丸「どうしたの、こんなところで」

千歌「一人で散歩してたら、カフェの中に二人を見かけてさ」

千歌「せっかくだから一緒にお茶させてくれないかな~って思ったんだけど――お邪魔だった?」


ルビィ「ううん、そんなことないよ――ねっ、マルちゃん」

花丸「うん、もちろん」

千歌「そりゃ助かるよ」

千歌「お礼に先輩として、ここは千歌が奢ってあげるのだ!」

花丸「わぁ、いいの!」

44: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:22:11.69 ID:G8azG0SV
千歌「うんうん、もちろん」

千歌「私だってバイトしてるから、お茶代ぐらい余裕だよ」

花丸「よかったね、ルビィちゃん」

ルビィ「う、うん」

ルビィ(流石幼馴染、発想がおんなじ)


ルビィ(でも言わなくていいのかな、既に片付けられたワッフル×3が存在したこと)

ルビィ(合わせたら、結構な金額になるけど……)

45: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:22:54.58 ID:G8azG0SV
千歌「ルビィちゃん、曜ちゃんとは上手くやってるかね」

ルビィ「あっ、うん」

千歌「はーよかった。心配だったんだよね」

花丸「そうなの?」

千歌「曜ちゃん、あんまり自分の話したがらないからさ」

花丸「へぇ」

ルビィ「そーなんだ」

46: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:23:25.79 ID:G8azG0SV
千歌「まあ酔ってるとポロポロ惚気話するけどさ」

ルビィ「惚気話ってそんな……」

千歌「まあこんな可愛い子と一緒に住んでたら仕方ないよね」

花丸「うんうん、分かるよ」

花丸「マルも酔ってなくても、よくルビィちゃんの自慢話するもん」


ルビィ「千歌ちゃん、よく曜ちゃんとお酒飲んでるの?」

千歌「うん、私はそんななんだけど、梨子ちゃんはお酒好きでよーちゃんと一緒に楽しんでることが多いかな」

千歌「なんかね、げーじゅつかはお酒が好きなんだって」

47: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:24:10.05 ID:G8azG0SV
ルビィ(梨子ちゃんとお酒)

ルビィ(ワインとか、おしゃれなカクテルとか、似合うかも)

ルビィ(それに曜ちゃんと梨子ちゃん、二人で並んでお酒を飲んでると絵になる気も)


千歌「私を差し置いて二人だけで飲むこともあるらしいよ」

千歌「まったく酷い話だよね、プンプン」


ルビィ(仲間はずれな感じで気持ちは分かるけど、無理に飲ませないよう気を使っているのかな)

ルビィ(でも日ごろよくお酒を飲んでる友達、もしかして梨子ちゃんなんじゃ……)

48: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:27:47.19 ID:G8azG0SV
千歌「二人もお酒を飲める年齢になったら、三人で飲みに行こうよ」

千歌「あんな酒飲みたちは無視して三人で、楽しく飲もう」

千歌「他のAqoursメンバーも、上級生組は強そうだし、善子ちゃんはどーせ梨子ちゃんと同じタイプだし」

ルビィ「いいね、平和そう」

花丸「賛成ずら~」

千歌「よーし、決まり」

千歌「両手に華の未来が決定したのだ!」

花丸「未来ずら~」

ルビィ「花丸ちゃん、今日はそれ好きだねぇ」

49: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:28:54.04 ID:G8azG0SV
千歌「よーし、千歌ちゃんはご機嫌だから遠慮なくデザートとか頼んでいいよ」

千歌「何個でも遠慮なく頼んじゃえ!」

花丸「えっ、それじゃあこのケーキ食べてもいい?」

千歌「うんうん、もちろん」

ルビィ「あ、あの、千歌ちゃ――」


花丸「あとこのワッフルも」

千歌「ドンと来い!」

ルビィ「…………」

ルビィ(楽しそうだし、まあいっか)

50: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:29:27.07 ID:G8azG0SV
―――
――



ルビィ「ただいまぁ」

ルビィ(千歌ちゃんに捕まってたら、遅くなっちゃったな)

ルビィ(久しぶりだから、お互いに積もる話もあって楽しかったけど)

ルビィ(曜ちゃんのお返事無いけど、拗ねちゃった?)

ルビィ(それとも、前みたいに寝てるのかな)

51: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:30:04.45 ID:G8azG0SV
ルビィ「よーちゃん、寝てるの?」

ルビィ「よーちゃん?」

ルビィ(あれ、もしかしてお出かけ中?)

ルビィ(そういえば、靴もなかったかも)


ルビィ(けど食事当番の日なのに、ご飯作った様子もない)

ルビィ(お買い物にしては、いつも使ってるエコバックも置きっぱなし)

ルビィ(やっぱり、拗ねちゃった説かなぁ)

52: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:30:43.80 ID:G8azG0SV
ルビィ(ひとまずラインで連絡して、謝って)

ルビィ(ご飯、作っておいてあげようかな)

ルビィ(そしたら機嫌直してくれるかもだし)

ルビィ(とりあえずお買い物に行って――でもその間に帰ってきたら嫌だな)


ルビィ「れーぞーこの中……からっぽ」

ルビィ(書き置き、すればいいかなぁ)

ルビィ(ちゃんと読んでくれるか心配だけど――あれ)

53: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:31:18.74 ID:G8azG0SV
ルビィ「机の上に、紙?」

ルビィ(もしかして、曜ちゃんの書き置き?)

ルビィ(ルビィと同じこと考えていたのかな。えへへ、そっくりさんだ)

ルビィ(けど友達と飲みにいってるとか、そんな内容だったら嫌だな)

ルビィ(でも今日は千歌ちゃんはルビィたちと一緒だったし、大丈夫かな)

ルビィ(でもそれなら、どんな内容――)


ルビィ「えっ」




『しばらく旅に出ます。探さないでください』

54: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2018/12/11(火) 06:33:44.50 ID:G8azG0SV
今回はここまでで
次回の投稿で完結です

55: 名無しで叶える物語(茸) 2018/12/11(火) 06:40:32.25 ID:79A/FXaa
長文おつでした

56: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2018/12/11(火) 08:56:50.68 ID:e/pNxZ0Y
いよいよクライマックスか
同棲系は安定して面白いな

引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1544114699/
引用元:https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1544472952/
最終話へ続く


you fooder
結末はどうなるんだろ・・・!?